iDeCo
2022.10.18
2022.12.12
老後の生活費の確保を目的に、近年注目を浴びているiDeCo。毎月任意の金額を積み立てることで、所得控除や非課税優遇など実利が受けられるといった魅力が特徴となっています。
しかし、iDeCoにはメリットだけでなく注意点もいくつか存在します。
この記事では、これからiDeCoを始めたいと思っている方にぜひ知っていただきたい、「iDeCoに加入したあと」について解説します。
この記事の内容を知らないまま、「なんとなくお得そうだから」という理由だけでiDeCoを始めてしまうと、思わぬトラブルに繋がるかもしれません。しっかり確認しておきましょう。
iDeCoは原則として掛金の途中解約はできません。これは投資信託や積立NISA、各種保険商品など、他の資産形成方法とは大きく異なるポイントです。
iDeCoが原則途中解約に対応していない理由について、iDeCoの目的を考えると納得がいくはずでしょう。
iDeCoの施行、および投資する目的は、「老後の生活資金の確保に向けた資産形成」です。そのため、iDeCoで投資した資金については、原則60歳まで受け取ることはできないのです。
もちろん、転職やライフスタイルの変化など、60歳までの間に収入が減ってしまい、当初設定していたiDeCoへの毎月の掛金の支払いが難しくなってしまう場合もあるかもしれません。
そうした時、掛金を減額したり一時的に掛金の支払いを停止することは可能です。ただし、完全にiDeCoを解約して、それまでの掛金を生活費に充てるということは「原則」できないことを理解しておいてください。
また、iDeCoは10年以上掛金の支払いを続けることで、始めて60歳以上で受け取れる制度ということも合わせて認識しておく必要があります。
あくまでも老後のための資産形成の手段であるiDeCo。株や投資信託、積立NISAとは全く異なる資産形成方法ということを知らないまま始めてしまわないようにしましょう。
上記で解説した通り、iDeCoは「原則」途中で解約することはできません。ただし、例外として途中で解約できるケースが3つ存在します。
具体的には、以下のケースに当てはまる場合に、それまで掛金として支払ってきた金額を受け取れるようになっています。
「死亡」や「障害」など、見るからに例外事由の該当ハードルが高いことがイメージできますが、事実としてiDeCoの途中解約が可能になる条件は非常に厳しくなっています。
それぞれの例外事由について詳しく見ていきましょう。
iDeCoを途中解約できるケースの一つとして、「脱退一時金を受け取れる」と認められた場合が挙げられます。
この脱退一時金は、終身保険の解約返戻金のように簡単に受け取れるようなものではなく、以下の条件を「全て」満たしている場合に始めて受給できるものとなっています。
いろいろと書かれていて難しいと思うかもしれませんが、特に注目したい条件は3、6、7です。
3で書かれている「国民年金保険料免除者」というのは、生活保護や学生納付特例、若年者納付猶予などにより、国民年金保険料の納付が免除されている人のことを指しており、十分な収入を得られない状態とイメージを持っておくとよいでしょう。
つまり、脱退一時金を受け取れるのは、iDeCoで老後の資産形成を始めたものの、なんらかの理由で収入が激減してしまったケースが考えられます。
通常通りサラリーマンをしているような方は、iDeCoの脱退一時金を受け取り途中解約することはできないのです。
なお、脱退一時金を受給するための請求先として、個々人の置かれている状況によって大きく異なってきます。
支給条件と合わせて、iDeCo公式サイトでしっかりと確認しておくのがおすすめです。
脱退一時金を受け取る以外の方法は、非常に特殊なケースとなります。その一つが、障がい給付金を受け取れる時です。
iDeCoに加入している人が、病気や怪我などの理由で高度障がい者になってしまった時、iDeCoの途中解約が可能になります。
なお、高度障がい者としてこのケースで認められる時は、以下のいずれかを所持している場合のみが対象となりますので理解しておきましょう。
なお、どのような状態が高度障がいとして認められるのかについては、iDeCo口座を持っている金融機関では判断ができないため、居住地の役所などに問い合わせるようにしてください。
ただ、いずれも、生活に大きな支障が出るレベルでの障がい状態となりますので、簡単にiDeCo解約の条件を満たすことは難しいでしょう。
iDeCo加入者である本人が、iDeCo受給前に死亡した場合は、遺族が死亡一時金という形で受給することが可能です。
万が一のことがあった場合、死亡後5年以内に遺族がiDeCoの運営管理期間に請求することで始めて死亡一時金の受け取りが可能になりますので、日頃よりできる範囲で自身の資産形成状況を家族と共有しておくとよいでしょう。
ちなみに、死亡してから5年を経過してしまうと、相続人のいない相続財産とみなされ、簡単に遺族が死亡一時金を受給できなくなってしまうため注意してください。
なお、公的年金についてはiDeCoのように、加入者が年金受給前に死亡しても、それまで支払ったお金を遺族が受け取ることはできません。
その点から考えると、iDeCoは私的年金でありながら、部分的に生命保険のようなイメージだと捉えることもできるのではないでしょうか。
これまでお伝えしてきた通り、iDeCoを始めることこそ簡単ではあるものの、通常受給までの途中で解約することは非常に難しいのが現実です。
ただ、いくら途中で解約が難しいといっても、家計の状況は刻一刻と変わるもの。iDeCoを始めた当初はある程度資産形成に余裕があったとしても、急に職を失ったり、出費が増えてしまったりと、iDeCoの支払いが難しくなることも考えられるでしょう。
もし掛金支払い期間の間でiDeCoをやめたくなったら、一時的な掛金支払いの停止や、掛金の減額といった申請を行うことをおすすめします。
iDeCoの一時的な停止、減額についての申請先はどちらもiDeCo加入金融機関となっており、提出する書類はそれぞれ以下の通りです。
上記のうち、減額手続きに関しては一点注意が必要です。それは、iDeCoの掛金金額の変更は年に一回しかできないということ。
金額変更ができるタイミングになったら連絡が来ますので、減額をしたい場合は申込締切日までに必ず対応するように心がけましょう。申込締切日を過ぎてしまうと、また一年間同額で掛金を支払い続ける必要があります。
どちらの書類も、iDeCo加入金融機関のホームページからダウンロードすることが可能になっているはずですので、加入金融期間を確認した上でチェックしてみてください。
万が一自分がどこの金融機関でiDeCoに加入しているのか分からなくなってしまった場合は、iDeCo公式サイトのコールセンターに電話するのもおすすめです。
尚、スイッチングという方法があることをご存知でしょうか。
詳しい内容を下記のページでご紹介しています。
iDeCoはスイッチングしても大丈夫?配分変更との違いやデメリットを解説
さらに、iDeCo以外にもおすすめの投資手法をご紹介していますので併せてご確認ください。
【最新版】資産形成ランキング
iDeCoはたくさんの節税メリットを享受しながら資産形成を行える便利な制度です。始めることも比較的簡単ではあるものの、始めた後に途中解約することは基本的にできないと思っておいたほうが良いでしょう。
ただ、始めた後に掛金支払いが難しくなったとしても、減額や一時的な支払い停止が可能です。上手く活用し、賢く資産形成を行っていってくださいね。