ダウと日本株は連動しやすい?関係性や近年の傾向について解説


2023.01.10

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    株価はさまざまな変動要因があるため、将来の動向を完全に予想することはどんな人にとっても不可能です。
    しかし、特定の株価指数が他国の株価に影響し、連動するといった傾向はよく見られるため、株価予測によく用いられることがあるのも事実です。

    特に、NY(ニューヨーク)ダウと日本株は連動して動く傾向にあるとされています。
    この記事では、NYダウと日本株が連動すると考えられている理由や傾向、関係性などについて分かりやすく解説します。

    NYダウと日本株の関係について

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    NYダウとは、世界中の産業や株価に強い影響を与えるアメリカのさまざまな業種において、代表的な企業30銘柄で構成されている株価指数です。
    株式市場が開いている時間はリアルタイムで変動し、経済動向を計ったり投資判断の材料にしたりなど、あらゆる場面で活用されているのが現状です。
    なお、NYダウという名称のほかに「ダウ平均」「ダウ工業株30種」といった名称でも呼ばれることがありますので、余裕があれば覚えておくと良いでしょう。

    日本で頻繁に用いられている株価指数は「日経平均」になりますが、こちらは225銘柄で構成されています。
    NYダウは30銘柄で構成されていますので、NYダウの構成銘柄となる企業はエリート中のエリートと言えるでしょう。

    NYダウを構成する主な銘柄としては以下のような企業が挙げられます。

    • アップル:iPhoneをはじめとしたデバイスの製造、販売を行う企業
    • ウォルト・ディズニー:ディズニーランドやアラジンなどの映画制作を手掛ける企業
    • ナイキ:スポーツ商品やシューズ、アクセサリーなど世界的な販売を行うブランド企業
    • マクドナルド:世界で最も有名と言っても過言ではないファストフードチェーンを展開する企業

    このように、世界で誰しもが知っているような企業でしか構成されていないこともあり、NYダウの指数変動は世界の経済動向を表すという見方をする投資家も見られます。

    そんなNYダウですが、「米国がくしゃみをすれば、日本は風邪を引く」という言葉があるほど、日本株と密接に連動する関係性にあると言われています。
    ここからは、なぜNYダウと日本株が連動すると言われているのかについて、考えられる理由を見ていきましょう。

    連動するおもな原因は投資家による投資行動

    NYダウと日本株が連動する原因の一つに、国内外問わず世界中の投資家の投資行動が挙げられます。
    日本株は日本人の個人投資家や機関投資家だけが売買しているように考えてしまいますが、なにも日本株を日本人だけが買っているということはありません。
    むしろ、実際に日本株を売買しているのは外国人投資家が半数以上とも言われており、その中でも米国の投資家が多くを占めているといったデータも存在します。

    株を売買するのは証券市場となりますが、株を売買できる時間は各国の市場でさまざま設けられています。
    分かりやすい例で言うと、日本の株式売買市場は平日の9時から15時までと定められていますので、それ以外の時間で株式を売買することはできません。
    一方、アメリカの株式売買市場は9時30分から16時まで、日本時間にして23時から翌6時までとなっており、この時間内で株価が動くことになります。

    このことを前提とすると、NYダウと日本株が連動しうる理由がイメージしやすくなるはずです。
    先ほど解説した通り、アメリカの株式売買市場での株取引終了時刻は日本時間における朝6時です。
    多くの外国人投資家は米国での株式売買市場での株取引を終えた後、3時間後から取引が始まる日本の株式売買市場で取引を開始する傾向にあります。
    このため、米国での株式売買市場での株価結果が、結果的に日本市場でも反映されることが多くなるのです。

    もし「米国での株式市場が好調」という見方をされれば、投資家はさらなる利益を求めて日本を含む海外の株式市場で投資を増やします。
    一方、「米国での株式市場が不調」という見方をされれば、投資家はリスクを避けるために投資をしなかったり、投資額を減額したりなどの対応をすることになります。
    こういった海外投資家の動きを受け、日本株はNYダウに連動するという通説が囁かれることになったと考えられます。

    もちろん米国での株式市場の結果という原因だけでなく、もともと日本経済は米国の経済状況と結びつきが強いといった原因も一つの理由として考えることができます。
    ただ、実際に株を売買するのは生身の人間となりますので、投資家個々人の感情や行動原理も大きく影響していることは間違いないと言えるでしょう。

    近年の傾向

    これまで、長くに渡ってNYダウと日本株は連動する関係にあると言われてきました。しかしこの法則は近年の傾向として崩れ始めているという声も多く上がってきています。
    近年のチャートを見てみると、NYダウが市場最高値の株価指数を更新しましたが、日本株はそれに合わせて上昇することはなく、停滞していたというデータも存在しているのです。

    そもそも株価指数の増減は、その指数が参照している株価の増減によって変わってくるわけですが、株価の変動要因としては次のようなものがあります。

    • 個社別の業績や将来性の変化
    • その国の景気動向
    • その国の金利水準の変化
    • 為替の変動
    • その国の政策の動き
    • 戦争・貿易摩擦といった国際情勢の変化
    • 自然災害による被害

    このように非常に複数の要因が絡み合って株価の変動は起きていますし、リーマンショックに代表されるような金融市場における事件も起きやすいというのが現実です。
    つまり、NYダウと日本株は必ずしも連動すると言うことは言い切れないのが近年の傾向となっていますので、間違っても「NYダウが上がったから資産を全て日本株に投資する」といった単純な判断をしないよう心がけてください。

    ダウの値動きと連動しやすい日本株

    連動するチャートと投資家

    さまざまな要因は考えられるものの、やはり日本経済は米国経済と密接な関係にあるため、日本株とNYダウは似たような動きになることが多いです。
    従って、米国株が低迷しているような時は、外国人投資家によって日本株が売られてしまうといったことが頻繁に起きえます。
    この際、株価に最も影響を受けやすいのが「景気敏感株」といわれる種類の株となります。

    景気敏感株とは、経済危機など景気の動向によって業績が大きく左右されてしまう銘柄の株のことをいいます。
    低迷局面では株価がより低迷し、好調局面では株価がより上がるといったハイリスク・ハイリターンな性質を持っているのが特徴です。

    景気敏感株の代表的な業種としては、次のような銘柄が挙げられます。

    • 自動車などのメーカー
    • 化学
    • 鉄鋼
    • 紙パルプ
    • 精密機器
    • 工作機械

    これらの銘柄は、景気が好況の時はモノが売れるため、それに比例する形で業績が伸びていくものの、低迷時は業績を上げることが困難といった特徴を持っています。
    そのため、NYダウの増減を見た投資家が景気敏感株の売買を行うことで、リスクヘッジや売買益の最大化を図る傾向にあるのです。

    上記のような日本株に投資をしようとしている方は、特にNYダウの値動きに注意しておくのがおすすめです。
    日本の株式売買市場が開く9時よりも前に、NYダウの指数の動きを見ておくようにしましょう。

    まとめ

    NYダウと日本株は連動する傾向にあるものの、国際情勢や金融事件などの要因で必ずしも絶対に連動するとは言えません。
    あくまでも「傾向がある」という理解に留め、個社別・国別の変化材料をもとに、株価の増減を予測していくようにしましょう。

    ちなみに、株式を売買するためには証券会社で口座を解説する必要があります。
    もしどの証券会社で口座開設するかを悩んでいるのであれば、「FX・証券会社RANKING」のサイトを参考にしてみてください。

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