NISA
2023.01.10
100円から始められる積立NISAは、ネットから簡単に始められることもあり、多くの人が資産形成の手段として取り入れるようになってきています。
不安定な金融情勢による将来の生活資金確保のため、これから積立NISAを始めようと考えている方も多いのではないでしょうか?
積立NISAをまだやったことのない方がよく悩むポイントとして、「毎回積み立てる金額は減額することができるのか?」というものが挙げられます。
この記事では、積立NISA初心者の方に向け、積立期間中における減額や増額が可能なのか。また、そのメリットデメリットにはどういったものがあるのかについて解説します。
積立NISAは、金融庁が「長期・積立・分散投資」を支援するために設けている非課税制度のことを言います。
通常投資で得た利益や分配金については約20%の税金がかかってしまいますが、積立NISAを活用すれば、年間40万円までの投資金額における課税が一切されなくなり、大幅な税制優遇を受けられるのがポイントです。
年間の非課税枠をフルに使う場合、毎月の積立金額は40万円÷12ヶ月≒33,333円となりますが、金額そのものは個々人で自由に設定が可能です。
銀行の積立NISAを活用する場合は最低1,000円から、大手ネット証券の場合は最低100円から始められますので、毎月の積立金額としては100円〜33,333円の間でいつでも減額させられることを覚えておきましょう。
積立NISAはいつでも減額が可能ですので、自身のライフステージや状況に応じて柔軟に積立金額を変更させるといった運用も可能です。
例えば、独身時代は毎月最高金額の33,333円を積み立てていたものの、結婚・出産を経て子どもへのお金が必要になってきたので、毎月の積立金額を5,000円に減額するといったこともできます。
また、後ほど詳しく解説しますが、減額だけでなく増額も可能ですので合わせて認識しておきましょう。
なお、家計の急変などで積立NISAの解約を検討している場合は、売却をして完全に積立をやめてしまうのではなく、減額をすることがおすすめです。
というのも、積立NISAで投資できる商品は、「長期投資/保有」を前提としているものしかありません。つまり、積立NISAの非課税期間である20年間保有し続けることで、理論上は資産が増えていくと考えられている商品とも言い換えることができます。
そのため、すでに積立NISAで投資している分の資金はできるだけそのまま寝かせておき、少額の投資でもいいので積立を続けておくのが良いでしょう。
投資期間が長くなれば長くなるほど、複利効果もはたらき運用益の増加が期待できます。よほど生活資金に困ってしまったという場合以外は、積立額の減額で対応することを検討してください。
積立NISAを減額することで、自身の結婚や子どもの入学といったライフステージに合わせた資産形成ができるといったメリットが享受できます。
基本的に積立NISAは毎月一定のタイミングで積立資金の支払いを行なっていくため、家計においては固定費用として位置付けられます。
積立資金を減額すれば毎月の固定費用を減らせるので、急な出費に対応しやすくなったり、流動的に使用する銀行預金の余裕を増やすなど、さまざまな受け身が取りやすくなるでしょう。
また、ギリギリの家計収支の中でやや無理して積立NISAをしている人であれば、減額により積立NISAを途中解約してしまうといったリスクを避けることも可能です。
繰り返しになりますが、積立NISAを始めたら基本的に非課税期間の20年は寝かせておくことを意識し、間違っても途中解約してしまうことは避けてください。
仮に減額して、毎月の積立金額が少額になってしまったとしても、長期・分散投資に繋がるため、投資効果を最大限に伸長させることが期待できます。
「積立NISAはできるだけ辛抱強く積み立てていくもの」ということを意識した上で取り組むようにしてください。
ただ、いくら積立NISAだからといって完全に放置してしまうのは、それはそれでリスクになります。
以下の記事も参考にし、半年や一年に一回を目処に定期的なメンテナンスを行いましょう。
あわせて読む:
積立NISAはほったらかしでも大丈夫?定期的にチェックすべきポイントを解説!
積立NISAを減額することは、当然メリットだけでなくデメリットも存在します。
減額におけるデメリットとしては3つ挙げられます。
1つ目は積立NISAの非課税枠をフルで活用できなくなるという点です。
先ほども解説した通り、積立NISAで活用できる非課税枠は年間40万円ですので、投資による節税効果を最大限活かすためには年間40万円、毎月33,333円の積み立てを行う必要があります。
もし毎月33,333円の積立金額から減額してしまえば、その分非課税枠を余らせてしまうことに繋がるのです。
また、余った非課税枠は翌年に繰り越すことができないことも知っておく必要があります。
仮に減額をして一年間で30万円の積み立てを行ったとしても、10万円分の余った非課税枠はその年で無くなってしまいます。
減額をしたらした分、制度上における節税効果が期待できなくなることはデメリットと言えるでしょう。
2つ目は将来の運用成果に大きな影響をもたらしやすいという点です。
積立NISAは、運用で得られた利益を投資元本に加えて運用するといった複利効果が強く発揮できるのが強みの一つです。
複利効果により運用資産が加速度的に膨らんでいくことが期待できるのですが、複利効果を強めるためには当然投資額を増やすことが必要になってきます。
積み立て金額を減額すると、複利効果は大きく弱まってしまいます。
ここで、月30,000円の積み立てから10,000円に減額した時の運用益シミュレーションを見てみましょう。
(想定利回りを3%として試算)
月30,000円 | 月10,000円 | |
投資元本 | 7,200,000円 | 2,400,000円 |
合計積立金額 | 9,849,060円 | 3,283,020円 |
20年間の運用益 | 2,649,060円 | 883,020円 |
このように、月々の投資金額を2万円減額しただけで、最終的な運用益に176万円ほどの差が出てきてしまうのです。
もちろん投資において利回りが安定し続けるということは机上の空論でしかありませんが、積立NISAの商品はどれも長期運用に向いているものになっていますので、比較的利回りは安定するとされています。
積み立て金額の減額は、短期的な目線で言えば家計が楽になるといったメリットはあるものの、長期的な目線で言えば運用益が下がりやすいといったデメリットがあることを認識しておかなければなりません。
3つ目は投資額で損をしてしまうリスクがあるという点です。
積み立て投資中に投資金額を増減させることで、ドル・コスト平均法が機能しにくくなってしまうといったデメリットが挙げられます。
ドル・コスト平均法とは投資方法のことで、投資商品を同じタイミングで同じ金額を購入することで、投資売買におけるリスクを減らせるといった特徴があります。
一定金額を購入し続けるため、投資商品の金額が高まっている時は少なく。安い時は多く買うといったことが自動的に行え、結果的に「投資商品の平均購入金額を下げる」「市場の価格変動を受けにくくする」といったメリットにつながります。
ドル・コスト平均法のメリットをしっかりと享受するためには、毎月の購入金額を一定にすることが必須となってきます。
もしコロコロと積み立て金額を変えてしまえば、「高い時にたくさん買って、安い時に少量しか買えない」といったことになりかねませんので注意が必要です。
ここまで積立NISA減額のデメリットを解説しましたが、無理して投資をしないことも同じくらい重要です。
積立NISAにおいて最も大事なことは、コツコツと数十年単位で長く継続することなのは変わりません。
自分にとって適正な積立金額をなるべく早く体感しておくためにも、できるだけ早めに積立NISAを実践してみることをおすすめします。
また、積立NISA以外の資産形成方法も知りたい方はコチラのランキングサイトも参考にしてみてください。
積立NISAは減額だけでなく、途中解約をしたり売却をすることも可能です。
ただ、積立NISAを途中解約してしまうと、本来受けられるさまざまなメリットを受けられなくなってしまうので注意が必要です。
積立NISAは投資してから最長20年間まで、運用益と分配金を非課税で運用できるといった制度ですが、途中解約により、非課税期間を使い切ることができなくなってしまいます。
また、長期運用を前提とした商品を短期間で解約することは、利益を最大限享受できないリスクが大幅に増えることにも繋がることは認識しておく必要があるでしょう。
加えて、積立NISAを規約した同年中は、積立NISAの口座を再度開設できないこともデメリットとして抑えておかねばなりません。
もし年間40万円分の非課税枠を使い切る前に解約してしまうと、どれだけ早くても積立NISAの再開は翌年以降になりますので、解約している期間の分だけ損となってしまいます。
ちなみに、積立NISAにおいては「解約」と「売却」はそれぞれ別の意味を持ちます。
積立NISAの解約と売却の違いについては以下の記事で詳しく解説していますので、気になる方は合わせて理解を深めてみてください。
あわせて読む:
積立NISAを途中引き出しする方法は?解約と売却の違いや注意点まで解説
積立NISAはいつでも減額できますが、同時にいつでも増額することが可能です。
収入が増えたり、節約により安定して貯金できるようになってきたら、積立NISAの増額も視野に入れるといいでしょう。
しかし、増額は減額とは異なるポイントで注意点が存在します。
増額においては、年間の非課税枠を超えないようにすることに注意が必要です。
年間40万円を超えないように積立金額を設定しておく必要があり、もし投資金額は40万円を超えてしまうと、その分の運用益や分配金には20%の税金がかかることになります。
増額をする場合は、今年どれくらい積み立ててきて、40万円になるようにいくらまで増額できるのかをしっかりと計算するようにしてください。
合わせて、ボーナス月設定による積立増額が活用できることも押さえておきましょう。
積立設定時にボーナス月を設けることで、毎月の目安上限である33,333円を積み立てていなくても、非課税枠を使い切れる可能性があります。
ただ、ボーナス月での増額は年に2回までとなりますので、いつでも使える方法ではないことを認識しておきましょう。
積立NISAは減額だけでなく、増額も好きなタイミングで行うことが可能です。自分の状況に応じて適切な金額を積み立てていくようにしましょう。
ただ、投資効率や節税効果を最大限に活かしたいのであれば、毎月33,333円を積み立て続けることが目標となります。
この記事で解説した減額・増額のデメリットや注意点も理解した上で、積立NISAに向き合っていくようにしてください。
なお、資産形成方法は積立NISAだけではありません。
不動産投資や保険、仮想通貨などさまざまな商品がありますので、ぜひこちらのサイトで資産形成に関する口コミも確認してみてください。