積立NISAを途中引き出しする方法は?解約と売却の違いや注意点まで解説

NISA

2022.09.15

2022.12.12

  • 積立nisa 引き出し

    資産形成を考え始めた方がまず目にするのが「積立NISA」という制度ではないでしょうか?
    積立NISAは、年間の投資上限があるものの、どんな人でも税制優遇を受けながら投資をコツコツと貯めていけるといったメリットがあります。
    そんな積立NISAですが、「いつまで積立て続ければいいのか?」「積立期間の途中で止めることはできるのか?」という疑問を持つ方も少なくありません。
    この記事では、積立NISAを途中引き出しする方法や、知っておきたい「解約」と「売却」という言葉の違いについて解説します。

    積立NISAから資金を引き出す方法

    積立nisa 資金

    そもそも、積立NISAは回数や時期といった制限もなく、いつでも投資している資金を簡単に引き出すことが可能となっています。
    ただ、積立NISAの「引き出し」という言葉は、銀行口座からの預金引き出しという言葉と若干意味が異なることを理解しておきましょう。

    積立NISAで積み立てるのは、現金ではなく投資信託を始めとした金融商品です。
    仮に積立NISAの制度を使って毎月1万円を積み立てた場合、一年間で12万円分の金融商品を購入したことになりますので、12万円の現預金があるということではありません。

    従って、積立NISAの引き出しを行うということは、それまでに購入した金融商品のうち、任意の金額(口数)を売却し、現金化するということを意味します。

    ここまでを理解できれば、積立NISAから資金を引き出す方法の流れがすんなりと入ってくるでしょう。

    1. 積立NISAで保有している商品の中から売却したいものを選択
    2. 売却口数、もしくは売却金額を指定する
    3. 内容を確認する
    4. 注文完了
    5. 売却額分のお金が指定した口座に入金される

    上記の流れで積立NISAを引き出すことが可能です。若干複雑に感じるかもしれませんが、証券会社のサイト上で全て完結しますし、慣れれば3〜5分程度で一回の取引を完了できるはずです。

    また、積立NISAを引き出す時は、それまでに積み立てた全額だけでなく、一部の金融商品のみを売却することも可能です。
    例えば積立NISA口座で、投資信託Aを20万円、投資信託Bを5万円保有している場合、投資信託AとBを全て売却することもできますし、投資信託Aだけを3万円売却することもできます。

    ちなみに、積立NISA口座の引き出しを行ったとしても、積立設定がなくなることはありません。積立設定を停止したい場合は、引き出し手続きとは別に積立停止の手続きを行う必要があるので注意しましょう。

    解約と売却は同じ?

    積立NISA 解約

    積立NISAにおいて、解約と売却という単語を混同して使ってしまっている方がいますが、この二つの単語は別の意味を持ちます。

    積立NISAにおける解約とは、積立NISAの口座そのものの契約を無くしてしまうことをいいます。つまり、解約をすることで積立NISAを活用することができなくなり、再度積立NISAを使って投資をしたい場合は口座を作り直すところから始めなくてはなりません。

    一方、積立NISAにおける売却は、先ほど解説した通り「積立NISA口座内で保有している金融商品の一部、もしくは全部を売却すること」を指します。仮に全ての金融商品を売却したとしても、積立NISA口座自体は残り続けますので、すぐに投資を再開することが可能です。

    途中で引き出すと損をする?引き出す時の注意点

    資金 引き出し

    積立NISAは積み立て期間中でも自由に投資金額を引き出せますが、銀行預金の引き出しとは異なり、いくつか注意すべきポイントがあります。
    次のようなポイントを理解しておかないと、損をしてしまったり、重要な時に手元に現金が用意できなかったりしますので、しっかり確認しておくようにしましょう。

    引き出しは全て非課税、手数料もなし

    そもそも株や投資信託といった金融商品は、最初に買った金額から値上がりした時点で売却することで利益を得られるものですが、その売却益については約20%の税金がかかってきます。

    しかし、積立NISAの口座で買った金融商品であれば、売却益が非課税になりますので、税制観点では売却益を丸々儲けとできるのです。

    また、売却にかかる手数料といったものも存在しませんので、仮に毎日積立NISA口座から売却・引き出しを行ったとしても、手数料という観点で損をすることはありません。

    もちろん、積立NISAの非課税期間と呼ばれている20年を待たずして引き出しを行ったとしても、特に違約金や手数料が発生することはありませんので安心してください。

    ただし、投資信託に投資しようとする場合は一点注意が必要です。
    投資信託の銘柄によっては、信託財産留保額と呼ばれる売却手数料のようなものが発生する場合があります。

    信託財産留保額が設定されている銘柄の場合、その投資信託を売却する際に、基準価額(投資信託の値段のようなもの)に対してあらかじめ決められたパーセンテージが差し引かれるようになっています。売却時に追加でお金を支払わなければならないというものではないので間違えないようにしましょう。

    信託財産留保額が設定されていたとしても0.3%付近のものがほとんどですので、それほど高額ではないものの、やはり儲けが減ってしまうのも事実。少しのムダも生じさせたくないという方は、信託財産留保額がそもそも設定されていない投資信託を購入すれば問題ありません。

    ちなみに、信託財産留保額が設定されているかどうかは、投資信託の目論見書(もくろみしょ)に必ず記載があります。

    現金化にかかる日数を知っておこう

    積立NISAの売却や引き出しは、いつでも申し込みをすることができるものの、申し込んでからすぐに現金化できるということではありません。証券会社や購入した金融商品の種類・銘柄によって現金化までにかかる日数はかわってきますが、おおよそ3日〜1週間程度かかると思っておけば良いでしょう。

    こういった理由もありますので、「いつでも引き出せる」と考えて手持ち資金を全て積立NISA経由の投資に回してしまうことは避けるようにしてください。家賃や光熱費など、生活をしていく上で重要な支払いができなくなり、資産形成どころの騒ぎではなくなりかねません。

    投資による資産形成は、あくまでも余剰資金の中で行うということを念頭に、積立NISAと向き合うようにしましょう。

    複利効果が得られなくなる

    投資の世界において、複利効果というものは非常に強力にはたらくと言われています。複利効果というのは、投資した資産の運用益をそのまま再投資に回すことで、資産の増加スピードを早められるといったものです。

    積立NISAはできるだけ長期間で資産を積み立てていくことで、その恩恵を最大限に受けられる制度となっています。
    従って、積立NISAを長期間継続せず、途中で引き出ししてしまうと複利効果を十分に受けられないといった注意点が存在します。

    複利効果の重要性について、シミュレーションをもとに詳しく見てみましょう。
    毎月2万円の積立を20年間、利率4%で複利運用した場合、投資元金は480万円で資産総額は716万円になります。
    一方、毎月2万円の積立を20年間、利率4%で単利運用(利息分を再投資しない)した場合、同じく投資元金は480万円ですが、資産総額は672万円となり、複利運用した時よりも40万円程度減ってしまいます。

    ちなみに、資産運用で得られた利息分を再投資するか、運用益として現金で手にするかは、運用商品を購入する際に選択できるものがあります。
    もし選択できる場合は、「再投資あり」という言葉がかかれている種類のものを選ぶことで、複利効果を受けることが可能です。

    まとめ

    積立NISAを活用する時は、長期投資を前提として向き合うことで、資産形成を加速させることができるはずです。途中で運用損失が出ていたとしても、慌てずにコツコツ積み立てを続けていくことを意識しましょう。
    ただ、ライフイベントなどによって突然お金が必要になるケースも十分考えられます。そうした時は、適宜積立NISAの売却・引き出しを行うことも検討してみてください。

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