資産形成
2019.05.30
2022.12.02
長期投資に重要な、資産配分またはアセットアロケーションはリスクのバランスを管理する考え方です。投資において重要なのは低リスク高リターンですが、国内や海外の状況によってリスクとリターンの関係も変動します。損失を抑えるため、投資商品や投資する先の企業を分散させ、リスクを軽減することが重要とされますが、同時に保有する資産を分けておくことも大切です。現金、株式、債券、不動産など異なる値動きをする多くの資産が存在する中で、自分が求めるリスクとリターンのバランスを持つ資産を見極めることが必要不可欠なのです。資産配分をどのように考えるか、それを見直す方法と資産運用スタイルについて説明します。
アセットアロケーションとは、「資産配分」と呼ばれ、リスクを分散させながら長期的に目標の利益に到達するように資産を複数に配分することを言います。自分が保有する資産の中で、それをどれくらいのパーセンテージで持っておくべきかを決めておくことがアセットアロケーションの考え方で、値動きの異なる資産に柔軟に対応できる考え方でもあります。
資産の種類はまず基本的な現金や預金があります。インフレ時において現金や預金は利益が出にくく弱いですが、デフレ時には金利が高くなり預けているだけでもお金が増えるという強い資産でもあります。生活するために一定の現金を持っておくことが求められます。国内または外国株式は損失のリスクが高いですが、高いリターンが期待できる資産です。
国内株式は外国株式よりもリスクは低めですが、値動きが大きいため、基本的に国内の資産の中でハイリスクな資産となります。最もハイリスクな資産とされる外国株式は、その分大きなリターンが期待できる資産でもあります。先進国株式と新興国株式の2つに分類されるのも特徴です。最もリスクが低く安全な資産は国内債券です。
利益が少ない分安定しているので、不況の際の安全策として効果を発揮します。外国債券は安定したリスクとリターンで、安全に資産の分散ができます。国内債券よりもリスクは高いですが、株式よりも安定しているのが特徴です。国内や外国の不動産も資産に分類され、バブル時代には主流の資産でした。リーマンショックのようなことがあると借金などを抱えることになるので注意しましょう。
コモディティという特殊な資産もありますが、この中で基本的な資産は国内株式、国内債券、外国株式、外国債券の4つです。この中から自分が望むリスクとリターンに見合う資産配分を行なっていきます。
アセットアロケーションを考える前にやらなければならないのが、リスクをどのぐらい取れるか考えることにあります。個人の性格や生活の状況、運用に回せる資金の額、年齢よっても最適な資産運用の方法は異なり、それによってリスクも大きく異なります。まずはどのような資産運用スタイルで投資を行なっていきたいかはっきりしておくことが重要です。分かりやすい商品でとりあえず投資を始めたい人にはインデックス運用スタイルがおすすめです。
日経平均株価や東証株価指数を基準として、その基準に連動した利益を目指していく運用スタイルになります。基準に基づいて運用を行なうため、金融商品の入れ替えが少なく安定しており、運用コストが比較的低いといった特徴があります。少額からコツコツ増やしたい場合、難しい知識もなく始めたい方に向いているスタイルとなります。
老後の備えを蓄えたいがリスクを抑えながら投資を行ないたい人にはバランス型運用が向いています。価格変動の異なる複数の投資商品に分散投資することで安定した利益とリスクを抑えることが可能となる運用スタイルです。大きなリスクがかかっても、その分の大きなリターンが欲しい場合、国内外の株式で常に高い利益を追求する運用スタイルが向いています。
また老後ではなく、子どもの将来の教育費を貯めたい場合はターゲット・デート・ファンドで運用するのがおすすめです。事前に受け取り年や投資家の年齢を設定しておき、それに近づくたびにリスクが徐々に軽減されていく運用スタイルです。低いリスクで堅実に貯めていきたい場合、公社債の比率が高い投資信託がおすすめです。公社債はその組織や会社が破綻や倒産しない限り、資金が返金されるのが特徴です。
自分が何を目的に投資を行なうのか、どの程度のリスクを許容することができるのか、それに合った資産配分を考えて、その組み合わせで投資を行なうことが重要です。投資信託では比較的容易にそういった資産運用を行なうことができますが、状況は常に変動していくので、計画通りに進むことは稀です。資産配分をしっかり設定しても、時間経過で徐々にずれていくことがほとんどです。
最初に設定した状態をそのままにしておくと、想定外の高いリスクや少ないリターンとなってしまう場合があり、定期的に資産配分を見直して調整しなければなりません。資産配分を見直す方法は「リバランス」と「リアロケーション」の2つあります。リバランスは最初に設定した資産配分からずれていた場合、それを元の状態に調整することを指します。
元に戻すだけなので資産配分を変える必要がないのがポイントです。国内の経済状況、または世界情勢に大きな変化がない場合や最初に設定した投資目的とリスク設定に変更がない場合、その値に戻す方法が適切です。
一方、リアロケーションは最初に設定した資産配分そのものを見直す方法です。国内の経済状況や世界情勢に大きな変化が生じて、投資の方法も見直さなければ大きな損失になると判断した場合や投資目的やリスク設定を変更せざるを得ない状況になった際にこの方法を行ないます。リバランスもリアロケーションも、調整を行なう方法は膨らんだ資産を少なくなった資産に分ける方法と、新たな資金で少なくなった資産を補う方法があります。
リバランスのタイミングは半年から1年ごとに行なうと効果的です。見直しを行なう時期を設定しておき、定期的に見直すようにしましょう。リアロケーションを行なうタイミングは国内の経済状況や世界情勢に大きな変化が生じた時ですが、リバランスと同じく半年から1年ごとに見直すことが重要になります。
投資を始める際に理解しておかなければならないのが、適切な運用スタイルを行なったり、投資の計画をしっかり立てて対策を行なったりしていても、経済状況や世界情勢によって計画を見直さなければならない状況になることもあるということです。投資環境に大きな変化があった時、一つの投資先に偏っているとその変化に柔軟に対応できないケースも多く、大きな損失に繋がることもあります。それを回避できるように分散投資を行ない、資産配分を決めておきましょう。最初に決めた投資計画も定期的に見直して、リバランスかリアロケーションで調整するか、臨機応変に対応して損失を軽減していくことが重要です。しっかりと見直しを行うことが、リスクを回避するために必要な手段であることを覚えておきましょう。