インフレ対策で資産を守る!個人でもできる有効な対策法とは

資産形成

2022.09.15

2022.12.12

  • インフレ 対策

    不安定な社会情勢となってきている昨今において、資産形成を考え、貯金や投資に関心を持つ方も多くなってきています。

    貯蓄の目的のほとんどは将来への備えとなるわけですが、「毎月コツコツ貯めた資産の価値が何もしていないのに下がってしまう」なんてことがあったらどう思うでしょうか?

    この記事では、あなたの保有する資産価値を下げる要因にもなり得る「インフレ」について詳しく解説します。
    インフレについて正しく理解するとともに、資産を守るために知っておきたい対策法についても知っておきましょう。

    インフレとは?

    インフレ対策

    インフレとは「インフレーション(inflation)」という英語の略であり、一定期間において世の中のモノやサービスの料金が上がり続けることを意味します。

    反対に、インフレとは真逆の意味を持つ言葉にデフレ(デフレーション/deflation)というものがあります。
    モノやサービスの価格は世の中の経済動向によって増減することが一般的ですので、インフレやデフレがあるからといって経済動向が悪いということは言えません。

    インフレが起きる理由は、その時々の世界的な動向によって大きく異なるため、一概に「○○が起きたらインフレになる」ということは言えません。
    事実、多くの経済学者がインフレの原因について論じた経済学文献は膨大な数存在しています。

    • デマンドプル型インフレ:経済全体の需給増加によるインフレ
    • コストプッシュ型インフレ:生産コストの上昇や、災害など特別な原因に基づくモノの供給量の低下によるインフレ
    • 金融政策によるインフレ:世の中に流通する貨幣量が増えることによるインフレ

    また、インフレも一つの国単位で生じることもあれば、世界全体にインフレが波及するケースも存在します。

    「なぜインフレが生じているのか」や、「このインフレは短期的なものなのか、中長期的に影響するものなのか」などを理解できると、自分の資産を守るために取るべき対策がイメージしやすくなるでしょう。

    インフレ=お金の価値が下がってしまう

    インフレは、モノやサービスの値段が一定期間上昇し続けることだと解説しましたが、これにより実質的なお金の価値が下がりかねないということを理解しておきましょう。

    このことについて、具体的に八百屋に例えて解説します。
    ある八百屋で、りんごを5つ200円で売っていたとします。このりんごが非常においしく、購入者が急激に増加しました。
    八百屋はりんごの仕入れを間に合わせることができないため、りんごを4つで200円として販売するようになりました。

    この例では、需給増加によるインフレにより、りんご一つ当たりの値段は40円から50円に上がったことになります。つまり、お金の価値が実質的に下がってしまったということです。

    もちろんインフレにより給料が増えるのであれば、モノやサービスが値上がりしても問題ないのですが、基本的に給料は経済動向から遅れて反映されるようになっています。

    そのため、現金や預金で資産を持ち続けていると、インフレになった分そのまま損をすることになると言えます。
    資産価値を守るためには、預金による貯金はすべきではないとも言えるでしょう。

    インフレのメリットとデメリットについて

    インフレ対策

    「モノやサービスの価格が上がる」というインフレは、一見するとデメリットが多いように感じるかもしれませんが、長期的な目線で見るとメリットもあります。ここでは、インフレのメリットとデメリットについて解説します。

    インフレのメリット

    インフレはモノやサービスの値段が徐々に上がっていきますので、「価格が安い今のうちに買っておこう」という消費者心理が働きやすくなります。
    これにより、企業は売上や利益の改善が見込まれるため、従業員の給料が上がったり、さらに品質の良いサービスの開発をしやすくなるといったメリットが考えられます。

    また、仮に日本でインフレが起こった場合、円という貨幣の価値が下がるため、円安を引き起こす可能性があります。
    円安になることで、輸出産業の業績が好調になったり、観光客が増えて国内の経済が潤ったりと、様々なメリットに繋がることもあるでしょう。

    インフレのデメリット

    もしインフレが好ましくない理由で生じていた場合、デメリットの側面が大きくなります。
    例えば、商品の仕入れ価格の上昇を受けてのインフレであれば、消費者の支出負担だけが増えることになりますので、モノが買われにくくなり、企業の業績は下がっていくでしょう。
    そうなれば「景気が良くならないにも関わらず、物価が上昇し続ける」という事態に陥ってしまうのです。

    こういった背景もあるため、物価が上がってインフレになったからといって、必ずしも好景気になるということではないということを理解しておきましょう。

    特に日本は食品の多くを輸入に頼っている国家ですので、小麦などの原料価格が高騰すると、このような悪いインフレが起きやすくなるといった特徴があります。

    インフレから資産を守るには

    インフレ対策

    良いインフレにしろ、悪いインフレにしろ、インフレが起きるとお金の価値が下がることは間違いありません。
    つまり、預貯金の価値が目減りするということですので、インフレから資産を守るには預貯金以外の方法で資産形成することが重要になってくるのです。

    具体的なものとして、以下のような資産の保有割合を増やすことを意識すると良いでしょう。

    • 外貨預金
    • 株式投資
    • 不動産投資
    • 金やプラチナなどの貴金属

    これらの金融商品は、現預金とは異なる動きで価値が変わっていくだけでなく、価値そのものが低くなりにくいことから、資産運用に組み込んでいくことがおすすめです。

    それぞれの金融商品を活用したインフレ対策について、以下で解説していきます。

    外貨預金

    先ほど解説した通り、日本でインフレが起きている状況では、日本円の価値は下がってしまうので円安になります。円安になるということは、ドルやユーロといった外貨の価値が相対的に上がるため、外貨預金として資産を保有しておくことで儲けられることがあります。

    また、外貨そのものを保有するだけでなく、外貨建て保険や外国株式、外国株式や債権を組み入れた投資信託など様々な種類が存在します。自分のリスク許容度に合わせ、どの外貨建て商品を選ぶのか考えてみましょう。

    外貨預金・外貨建て商品で気をつけなくてはならないのは、為替変動リスクがあるという点です。経済ニュースではよく「ドル円がいくら」という公表がされていますが、実は外貨両替する時の価格は毎秒変わり続けているのです。

    そのため、外貨に換金した後インフレになって円安になれば資産が増えるものの、もし何らかの要因で円高になってしまえば、逆に資産価値は減ることになります。

    経済動向をどれだけ注視していても円安・円高を予想しきることは誰にもできません。正しくリスクを理解しておくことが大切です。

    株式投資

    インフレによって物価が上昇すれば、企業収益が改善される可能性があることを解説しましたが、これにより株価が上昇することも十分考えられます。インフレ対策の一環で、現預金資産の目減りを減らすために株式投資を行うのも一つの手となってきます。

    ただ、インフレ対策だからといって、闇雲に株式投資を行ってしまっていては逆効果です。インフレ対策で株式投資をするのであれば、インフレによって業績が良くなる企業や業界を見極める必要があります。

    たとえば、日本国内株式であれば、インフレは円安を引き起こし、輸出産業が好調になる可能性があることから、完成車メーカーや半導体などの電子部品メーカーが好調になることが推測されます(状況によって異なりますので、投資判断はご自身の責任にてお願いいたします)。

    そうは言っても、いきなり株式投資をするのはハードルが高いと感じる方もいるでしょう。そうした場合は、インデックス型の投資信託が候補になります。

    インデックス型とは、日経平均株価や米国のS&Pに代表されるような株価指数に連動することを目標に運用される投資信託のことです。
    初心者でも毎月少額から積み立てできますので、リスクをできるだけ抑えて投資したい方におすすめです。

    株式投資の場合、仮にインフレにもデフレにもならなかったとしても、株自体の値上がり益を狙うこともできますので、資産形成の一つとして考えておくと良いでしょう。

    不動産投資

    不動産投資は、ワンルームマンションや戸建、土地などの不動産に投資することを指します。現物資産とも言われ、インフレの影響を受けにくい資産として多くの人に知られています。

    インフレ局面においては、物価の上昇によって不動産自体の価値も上昇する傾向にあるため、資産が目減りしてしまうことを防ぎやすいのが特徴です。
    また、物件から発生する家賃収入などで、長期的に定期収入を狙えるのも魅力的なポイントだと言えるでしょう。

    不動産投資を考える上で重要になってくるのが、エリア選定と物件選びをしっかりと比較検討することです。
    せっかく不動産を買ったとしても、入居者がいなければローン支払いに家計を圧迫しかねません。

    エリアの活気や築年数、利回りや周辺相場など多くの比較ポイントがありますので、初心者であればまずは不動産売買のプロに話を聞いてみるのがおすすめです。

    金やプラチナなどの貴金属

    金やプラチナなどの貴金属は、不動産と同じく現物資産になります。特にこれら貴金属は、全世界共通で資産価値が認識されていますので、高いインフレ対策が期待できるでしょう。

    「有事の金」という言葉があるように、金融危機や国際的な紛争が起きると需要が増大する傾向にあるため、インフレ局面ではむしろ価値が上昇しやすいというのが特徴です。

    ちなみに貴金属投資では、金・銀・プラチナの3種類が一般的ですが、市場が最も大きく価値も比較的安定していることから、インフレ対策目的であれば「金」を主軸に選ぶと良いでしょう。

    インフレ対策で重要なのは分散投資

    インフレ対策

    インフレ対策として、現預金以外の金融商品を持つことをおすすめしましたが、金融商品は金融商品で価格が常に変動しているというリスクを持っています。このリスクを減らすために重要になってくるのが「分散投資」という考え方です。

    例えばインフレ対策として、現預金を100%株式投資に切り替えたとします。インフレ局面で投資した先全ての株価が上がれば万々歳ですが、投資額の50%以下の株価に下がるリスクも存在します。

    このような例は外貨預金でも貴金属でも発生し得ますので、保有資産の一つの価値が下がっても、そのほかの資産で損失を軽減するため、資産を分散して投資することが大切なのです。

    まとめ

    インフレについては、資産形成を少しでも考えるのであれば知っておきたいところです。
    なぜインフレが起きるのかは、その時々の社会情勢によって異なるため予想できませんが、いつインフレが起きてもいいような対策を練っておくことは今からでもできます。

    特に「自分の資産は100%銀行預金している」という方は、この機会にインフレにも強い不動産投資を検討してみてはいかがでしょうか。

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