iDeCo
2019.04.25
2022.12.02
今支払っている年金は将来貰えなくなる世代が出てくるなども示唆され、将来の不安は尽きることがありません。しかし、自身で貯蓄を行なうのも限度があり、具体的な将来への対策を行なえていない人は多くいると思います。そんな中登場したのが、個人型確定拠出年金「IDeCo」です。自身で作ることのできる年金制度であり、証券会社が提供している、所謂将来への保険や投資のようなものです。
しかし、しっかり税への対策も行なえることができる画期的な制度であり、お得であると興味を持つ方も増加しています。メリットも多いですが、便利なものには必ずデメリットもあるため、その点をしっかり把握してから活用していきましょう。
個人型確定拠出年金は月に一定の金額を収めて、60歳以降にまとめて、または分割で受け取ることのできる年金制度です。日本に住んでいて20歳以上で60歳未満の方であれば誰でも始めることができます。投資信託、定期預金、保険など用途に合わせて運用でき、60歳以降にその運用に合わせて資産を受け取ることが可能となります。月額5千円から始めることができ、月額の上限金額は職業によって異なってきます。
公務員は月額1万2千円まで、自営業の方では国民年金などその他の保険料と合わせて月額6万8千円まで可能で、専業主婦や主夫、企業年金のない会社員は2万3千円まで、企業年金がある会社員は企業年金の種類によって異なりますが、基本は1万2千円までが月額の上限金額となります。
IDeCoを利用するにはまずは専用の口座を開設する必要があり、金融機関や証券会社で口座管理が可能です。手数料や運用にかかる費用などはそれぞれ異なるため、しっかり確認しておく必要があります。サポート内容や運用できる金融商品など金融機関、証券会社によって異なるため、そちらもしっかり確認しておくことが重要です。60歳以上になって初めて資産を受け取ることができるため、長期運用できるように考えて金融商品を決めていきましょう。
60歳を迎えて初めて受け取ることができますが、ある一定の条件になると60歳前でも受け取ることができます。万が一、病気や事故によって重度の障害を抱えることになった場合は60歳前であっても受け取ることができるようになります。加入者が死亡した場合は年齢に関係なく受け取ることができ、遺族に資産が送られます。
加入期間によって受給開始期間も異なります。50歳からIDeCoを活用する場合でも、企業年金などの加入期間と通算した計算になり、それによって受給開始年齢が60歳より遅くなることもあります。受け取り方法は分割という年金形式と一括受け取りがあり、それぞれにメリットもデメリットもあります。
IDeCoを利用するメリットは、将来に不安の残る国民年金とは異なる形の年金制度を確立することができることですが、一番のメリットは税金が安くなることにあります。掛け金に対して所得控除が受けられ、毎月税金が返ってくるようになります。年末調整や確定申告を行なうことで所得税や住民税が安くなり、所得とIDeCoで積み立てた掛け金に応じた金額が税金で返ってきます。
また、メリットの一つに運用中の利益には税金がかからないというのもあります。通常の投資信託などには税金がかかり、資産運用の利益から税金を差し引いた金額となって、実際に受け取れる金額が異なってきます。IDeCoでは税金がかけられることがないため、利益をそのまま受け取ることが可能となります。
受け取り可能な年齢になって運用した資産を受け取る際にもIDeCoにはメリットがあります。分割の場合は年金形式となり、この場合のメリットは「公的年金等控除」が受けられることにあります。65歳未満で公的年金など収めた金額が年間で70万円以下の場合は全額が非課税となり、65歳以上では年間120万円以下で全額非課税となるメリットが特徴となります。
しかし、公的年金等控除は国民年金や厚生年金を受けられるようになる65歳からは非課税限度枠を超えてしまうこともあり、65歳から急に国民健康保険、介護保険の税負担が重くなる可能性が出てきます。これを回避できるIDeCoの受取り方法は、65歳までの間を分割、年金形式で受け取り、あとは一括で受け取るという方法があります。
これにより、国民年金や厚生年金を受け取るようになってからは税金が増えることもなくなります。ただし、安定した老後を送りたい場合は毎年一定の金額が入ってくる分割方法を続けることが望ましいと言えます。
老後に安定した金額が毎月入ってくる分割、年金形式と異なる受取り方法に一括、一時金があります。年金形式では公的年金等控除が受けられましたが、一時金では「退職所得控除」が受けられ、所得税を安くすることができます。IDeCoでは加入して掛け金を積み立てしている期間を勤続期間とすることができ、その期間も含めて控除金額の計算に入れることができます。
月に積み立てている金額が退職所得控除の額に及ばない場合、全額が非課税となります。全額非課税で公的年金等控除よりもメリットがあるように思えますが、もちろんデメリットもあります。IDeCoによる積み立てしていた資産が退職所得控除の金額を超えてしまった場合、税金の支払い金額が高くなってしまいます。税金の支払い金額を高くしないようにするには60歳までの積み立てをしっかり調整していくことが重要です。
自営業の方の場合、IDeCoへの積み立ての上限金額は6万8千円まで可能なので、利益を多く受け取りたい、将来受け取る金額を増やしたいと思い、月々上限まで積み立てていると、用意に退職所得控除の金額を超えてしまう可能性が高くなります。また、会社員の場合は退職金を受け取ることになりますが、IDeCoとは別に受け取ることで退職所得控除の金額を超えてしまうことになり、税金の支払い額が増えることに繋がります。
長い期間勤務していた方だと退職金も多くなるため、金額を超えてしまう可能性も大きくなります。そのため、一括で受け取る場合はしっかり金額の計算を行ないながら月々の積み立てを行なっていく必要があります。資産運用によって得た利益によっても金額を超えてしまうので、常に確認を行なっておく必要がある点に注意しなければなりません。
将来の資金への不安からIDeCoを活用する方も増えていますが、その運用にはメリットもデメリットも必ず存在します。また、分割や一括という二種類の受取り方法がありますが、それにもメリットとデメリットがあります。運用の仕方によっては年金を受け取るようになってから税金が高くなる場合もあり、自分の所得を確認し、退職金や年金のことを常に考えながら積み立てしていきましょう。
両方の受け取り方を行なうことで税金への対策になる場合もあり、自身の状況をしっかり見て上手く支払う税金を軽減することもできます。給付時期が迫ってきた時に、改めてしっかり受け取る額や税金のことを考えていきましょう。