証券会社と銀行は何が違う?投資を始めるならどっち?

資産運用

2023.02.06

  • 銀行と証券会社

    ほぼ全ての人は銀行口座を持っていると思いますが、証券会社に口座を持っているという方は少ないと思います。
    これから投資による資産形成を行っていきたいという方は、投資する商品によっては証券会社に口座を開設しなければならないかもしれません。
    この記事では、証券会社と銀行はどんな点が異なるのか。また、行いたい投資によってどちらの口座を持っていなければならないかについて解説します。
    同じ金融機関である両者ですが、役割や取り扱う商品には大きな違いがありますので参考にしてみてください。

    証券会社と銀行は何が違う?

    銀行と証券会社

    証券会社と銀行は、同じ金融機関という括りでまとめることができるものの、役割は大きく異なります。
    資産運用については、銀行でも証券会社でもどちらでも始めることが可能ですが、取り扱う商品が変わってくる点には注意が必要です。

    銀行は生活に密接していることもあり、銀行のサービスを利用したことがないという方はいないと思います。
    給料の振り込みから料金支払いのための為替サービス、住宅ローン申し込みや外国為替の両替など、幅広くサービスを取り扱っているのも、銀行が生活と密着している証拠です。

    一方、証券会社については馴染みがない方も少なくないでしょう。
    開設されている口座数から見ても、銀行より証券会社を利用する人の方が少ないことは明らかです。
    その理由は、証券会社は銀行に比べてできることが非常に制限されているということが挙げられます。

    ここでは、証券会社と銀行の違い。また、それぞれのメリットについて解説します。

    証券会社とは

    証券会社とは、文字通り有価証券(株式)の売買を中心にビジネスを行っている金融機関です。
    分かりやすい業務としては「ブローカー業務」と「ディーラー業務」の二つが挙げられます。

    ブローカー業務というのは、株式の売り買いをしたい人の間に立ち、代わりに取引を成立させた手数料を稼ぐ業務となっています。
    証券会社のメインの収益源となっており、もし我々が証券会社で金融商品の売買をするのであれば、このブローカー業務の中で行われることになります。

    また、ディーラー業務というのは、証券会社が証券会社自身の資金を使って株式を売買する業務のことを言います。
    株式売買の運用益で収益を上げることはもちろん、株式市場の取引の円滑化にも貢献する、証券会社にとってブローカー業務に次ぐ重要な仕事となっています。

    証券会社が行う業務としては、他にも新規株式を発行した会社の株式を買い取って顧客に売る「アンダーライティング業務」や、新規発行株式を一時的に預かって顧客に売る「セリング業務」というものもあります。

    このように、証券会社は特に株式を中心とした金融商品を取り扱う「直接金融」という役割を持っています。
    投資したい人と、投資を受けたい人を直接的に結びつかせることが証券会社の業務となるということを覚えておくと良いでしょう。

    証券会社は特にお金を増やすことを目的としているため、投資に特化しています。
    そのため、今まで投資をしたことがない人にとって、証券会社は身近な存在としては認識されていないのです。
    その分、取り扱う金融商品の数は、銀行よりもはるかに多いのが特徴であり、投資を本格的に行っていきたいのであれば、証券会社での口座開設は必須と言ってもいいかもしれません。

    ちなみに、証券会社は従来は店舗型のスタイルが一般的でしたが、近年ではネット証券会社も多く登場してきています。
    ネット証券会社も店舗型証券会社も、金融市場における役割や業務に大きな違いはありませんが、我々投資家が支払う手数料の点で大きな違いが出てきます。
    一部例外もありますが、基本的にはネット証券会社の方が支払う手数料が低い傾向にありますので、これから証券口座を開設するのであれば、ネット証券会社のものを選ぶのがおすすめです。

    銀行と証券会社の違い

    銀行は我々にとって非常に馴染み深いサービスではありますが、証券会社との比較をするため、改めて役割や業務をおさらいしておきましょう。
    銀行の業務は「預金」「融資」「為替」の3つに大別され、その他付随した金融サービスも取り行っています。

    • 預金:個人・法人問わず、顧客から現金を預かる業務。
    • 融資:預金業務で預かった資金を、まとまったお金が必要になる個人や法人・公共団体に貸し出す業務。
      身近な例でいうと、住宅ローンやカードローン・マイカーローンなどが挙げられる。法人の資金融資も該当する。
    • 為替:顧客からの依頼を持って、他の口座への支払いを行う業務。公共料金の振替業務などが身近な例。
    • 付随する金融サービス:国際や社債、資産運用などの相談・販売業務。貸金庫の管理やM&Aのアドバイスなど。

    基本的に銀行はお金を預かる場所という役割が強く、預かったお金を別の個人や法人に貸し出す運用を行いビジネスをしています。
    預金者はその運用のためにお金を預けているわけではないことから、銀行は「間接金融」と呼ばれています。

    消費者の目線で見ると、銀行は証券会社と異なり、「貯める」ことを目的に活用されることが多くなっています。
    そのため、資産運用を目的とした金融商品の取り扱いはどうしても証券会社に比べて数が劣ってしまう傾向にあります。
    また、預金口座に対して利息が発生するものの、大手銀行でも0.001%とほぼあって無いようなものですので、「増やしていく資産形成」をするのであれば銀行だけだと足りないでしょう。

    銀行でできること・証券会社でできること

    比較

    銀行にしかできないこともあれば、証券会社でしかできないことも存在します。
    この違いについて表でまとめました。

    証券会社 銀行
    預金
    通常の銀行預金とは異なる仕組み
    外貨預金
    通常の銀行預金とは異なる仕組み
    送金
    自分名義の口座にのみ可能
    公共料金の支払い ×
    給与の受け取り ×
    ローン ×
    投資信託
    株式投資
    提携する証券会社の代理店として購入できる
    債券投資
    提携する証券会社の代理店として購入できる

    銀行は預金や送金といった生活に根ざした金融サービスは全般を網羅していますが、投資信託以外の投資商品は直接取り扱うことができず、代理店のような形で販売する形をとっています。
    証券会社から直接購入するよりも販売手数料が高くなってしまうケースもありますので、特別な意識がない限り証券会社で直接投資商品を購入するようにすべきでしょう。

    証券会社で開設する口座は「証券総合口座」や「総合取引口座」などと呼ばれています。
    口座開設費や管理費は無料となっていますが、それ以外は銀行の普通預金口座とは違った特徴を持っています。

    証券口座ではクレジットカードの支払い先や給与の受け取りなど、生活決済に関する支払いには利用できません。また、利息も一切つきませんので、貯める口座ではないことを認識しておきましょう。
    証券口座は、投資商品を購入する目的のために存在しています。証券口座に入金し、その口座の金額から支払う形で初めて金融商品が購入できるのです。

    繰り返しになりますが、銀行は貯める・証券会社は増やすといった役割の違いがありますので、しっかりと理解しておいてください。

    証券口座の種類

    ちなみに、証券会社で開設できる口座には3つの種類があります。

    特定口座
    (源泉徴収あり)
    特定口座
    (源泉徴収なし)
    一般口座
    年間取引報告書 金融機関が作成する 金融機関が作成する 自分で作成する必要がある
    確定申告 原則不要 必要 必要

    年間取引報告書とは、その金融機関において1年間どのような取引をしたかをまとめた書類のことで、特定口座を使っている場合は金融機関が自動的に作成してくれます。
    その上で、源泉徴収ありの特定口座であれば、金融機関側が税金を源泉徴収してくれるため、確定申告が不要になります。気軽に投資をしたいという方は特定口座(源泉徴収あり)で口座開設するのがおすすめです。

    一般口座で投資を進めていくと、1年間の取引を全て自分でまとめる必要がありますし、売買損益を加味した確定申告を全て1人で行わなければなりません。
    自分で確定申告をすることは、投資における損失繰越など税制的なメリットはいくつかあるものの、投資初心者にはどれも難しい手続きだと感じてしまうでしょう。

    迷ったら、特定口座(源泉徴収あり)で証券口座を開設するようにしましょう。
    なお、証券会社ごとで証券口座は開設できますので、投資に慣れてきたら後から別の証券口座の開設も検討してみてください。

    銀行でも投資は可能?

    投資

    銀行でも投資をすることは可能です。ただし、投資信託以外のものは直接取り扱うことはできません。
    もちろん、投資信託だけでも十分資産形成をしていくことは可能なのですが、個別株式や社債など、さまざまな投資商品で資産形成をしていきたい方にとっては物足りないと感じてしまうでしょう。

    ただ、銀行は投資信託以外の金融商品をあくまでも「直接」取り扱えないだけで、間接的に取り扱うことが可能です。
    銀行で株式や債券投資をする場合、金融紹介仲介口座の開設を行えば、銀行から間接的に個別株や債券投資が可能になります。

    例えば、三菱UFJ銀行であれば、同じグループ会社である三菱UFJモルガン・スタンレー証券であったり、auカブコム証券の金融商品仲介が可能です。
    基本的にはその銀行のグループに位置する証券会社との仲介がされる点はあらかじめ認識しておくとよいでしょう。

    ちなみに、ここまで触れてきませんでしたが銀行では保険商品の取り扱いも行なっています。
    保険商品と言えば生命保険が代表的な商品ですが、中には貯蓄性と万が一の備えを両立した保険も存在しますので、資産形成という観点で有効活用する人も少なくありません。

    保険商品も含めた幅広い選択肢の中から資産形成を行なっていきたいという方は、まずは銀行の窓口に相談に行くのも良いでしょう。
    ただし、銀行の窓口で投資信託などの投資商品を購入すると、どうしても手数料分損をしてしまいやすいです。
    さまざまな情報を取捨選択し、どの金融機関で投資するのかを見極めるようにしてください。

    投資を始めるならどっち?

    投資

    証券会社と銀行、どちらで投資を始めるべきかは人それぞれ異なってきます。

    取り扱う商品の種類だけでなく、数が圧倒的に多いのは証券会社になります。
    投資にはリスクがあることを踏まえた上で、積極的にお金を増やすことを目的としているのであれば、証券会社で投資を始めるのがおすすめです。

    証券会社には、銀行では取り扱えない金融商品がいくつもあります。
    ただ、ここで注意しておきたいのが、「証券会社においても、取り扱う銘柄が異なる」という点です。
    もし興味のある投資商品があるならば、その銘柄を取り扱っている証券会社を利用しなければ投資することができません。

    合わせて、証券会社ごとで手数料が変わってくる点にもあらかじめ注意が必要です。
    一般的にはネット証券の方が販売手数料が低めに設定されていますので、ある程度自分で投資判断できるのであれば、ネット証券一択と考えていいでしょう。

    証券会社はいくつも存在しますので、自分に合った証券会社を見つけるためにも証券会社RANKINGのページもご覧ください。

    一方、お金を増やすだけでなく、お金に関する全般のことを相談したいという場合は、対面窓口の多い銀行がおすすめになります。
    銀行であれば投資初心者が始めやすい投資信託を取り扱っていますし、仲介してもらう形で個別株式や債券の購入も可能です。
    普段給与振り込みに使っているような銀行に相談すれば、資金を動かす手間も減らせますので、より気軽に投資を始められるでしょう。

    目的や生活スタイルによって、証券会社を利用するか銀行を利用するか選ぶようにしてください。

    まとめ

    証券会社と銀行、どちらでも資産形成をすることはできますが、さまざまな種類の投資を積極的に行ない、お金を増やすことに重きを置きたいという方は証券会社で投資を始めるのがおすすめです。
    証券口座の開設に費用はかかりませんし、ネットで口座開設手続きが完結するような会社も多くなってきています。
    証券会社での投資に興味がある方は、まずは証券口座開設を申し込むところから始めてみてください。

    また、まだ資産形成をどのように行なっていくべきか悩んでいるという方は、資産形成RANKINGのページも参考にしてみてください。

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