ニュースサマリー:アルゼンチンの個人資産管理アプリ「Uala」は11月25日、シリーズCラウンドにてSoftBankのラテン・アメリカ特化イノベーション・ファンド及び中国テック・ジャイアント「Tencent(腾讯)」らから合計1億5,000万ドルを調達したと発表した。同社の創業は2016年で、本調達により累計調達額は約1.95億ドルに達する。
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Ualaは近年欧米を中心に台頭する「Revolut」や「Monzo」に代表されるチャレンジャー・バンク事業をラテン・アメリカで展開。同社のアプリとカードを通して、預金・送金・融資・投資信託などほぼ全ての種類の金融サービスを利用できる。なお、欧州のチャレンジャー・バンクとの違いとして、Ualaが銀行免許を取得せずにサービス展開している点が挙げられる。
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Image Credit : Google Play
話題のポイント:WeWork経営危機問題を横目に、SoftBankによる海外投資は着々と加速しています。最近では、同社が仕掛けるラテン・アメリカ地域特化のイノベーション・ファンドが、先日ブラジルのEコマース企業「VTEX」の1億4000万ドル調達ラウンドにも参加していました。
アルゼンチンは現在深刻なインフレーションや3,300億ドル規模の債務など、国家の金融面で様々な問題を抱えており、加えて金融サービスの普及率も先進国に比べれば低い状況が続いています。そのためUalaのような個人向け資産管理アプリは同国の金融サービスへのアクセスを急拡大させられると考えられます。
このようにSoftBankは途上国の未成熟な金融システムを代替しうるデジタル・バンキングに投資の可能性を見出しています。実際に今年5月頃、SoftBank及びSoftBank Vision Fundはブラジルの担保貸付サービス「Creditas」に2億ドル超の出資を実施した経歴があります。
一方、中国最大のテック・ジャイアントでWechatなどを運営するTencentもSoftBankと同様の投資戦略を持っていると考えられます。TencentはWechat Pay及びその他の多数フィンテック・サービスを展開していることから、事業提携を通じた長期的な関係構築を見据えた戦略も感じさせられます。
Tencentは既にブラジル発のチャレンジャー・バンク「Nubank」との戦略的提携及び出資(1億8,000万ドル)を実施した過去があります。こうした投資実績からTencentはラテン・アメリカ市場を熟知していると考えてよく、本投資決行の大きな自信になっていることは言うまでもないでしょう。ちなみにNuBankは現在ラテン・アメリカではまだ珍しいユニコーン企業へと成長しています。
TencentとNubankのように、中国のフィンテック・ジャイアントが新興国のフィンテック・サービスに大型出資を行う案件は本件が最初ではありません。実はTencentが運営するWechatの競合にあたるAlipay(支付宝)と、その運営企業「Ant Financial(蚂蚁金服)」は数年前、インド市場へ影響力を拡大することを目的に、(関連会社アリババからの投資に加え)技術輸出という形でインド最大の決済大手「PayTm」を支援しています。
Ant Financialは現在まで投資を複数回続け、結果的にPayTmはインドで最も大きな決済アプリとなりました。つまりTencentによる戦略的投資は、Ant FinancialによるPaytmへの戦略的投資を大いに参考にしていると考えられます。
さて、アルゼンチン経済の特殊な背景と言う違いはあるものの、UalaはTencent及びNubankの成功モデルを参考にできる分、サービス拡大の難易度は高くないと言えるのではないでしょうか。両企業を参考にしつつ、効果的に開発と資本注入を繰り返すのがUalaの今後の事業プランとなっていくでしょう。
Ualaは未だアルゼンチン以外の南米諸国へとサービス展開する予定はないとしていますが、おそらくTencentは今後も大型資金を同社に投入し続けていく意向でしょうから、将来的に他国参入を実施する可能性は十分にあるはずです。Ualaの今後の成長・拡大にSoftBankとTencentの投資戦略の面からも注目です。
引用:BRIDGES
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