投資顧問の種類について

資産形成

2018.12.27

2022.12.02


  • 資産運用としての投資に精通している方はもちろん、今までそれほど興味を持っていなかった方も、投資顧問という言葉を耳にしたことがあるかと思います。

    簡単に言うと、個人投資家に専門的知識に基づく的確なアドバイスをくれたり、時には秘書のような役割も担ってくれるのが投資顧問です。少し前までは投資後進国と言われることの多かった日本ですが、年々、比較的容易に始めることが可能な投資も増えてきたことやさまざまな制度が整ってきたことなどから、個人投資家も増加してきています。それに伴い、注目度の高まっているのが投資顧問の存在です。

    今回は、投資顧問とは何なのか、投資顧問の種類や料金体系の違いなどについて、ご紹介していきたいと思います。

    投資顧問とは

    まず、投資顧問とはいったいどのようなものなのかについて見てみましょう。

    投資顧問の始まりは、約200年前のイギリスとも言われていますが、欧米諸国での歴史は長く、古くから一般的な知名度が高い職業のひとつとなっています。日本では、1960年代から増えてきたと言われていますが、当時はあまりクリーンなイメージがなく、不透明な運用がなされている業態であったため、1986年には投資顧問業界の取り締まりも兼ねて、投資顧問業法が誕生しました。

    投資顧問は、個人投資家のコーチ・投資家の秘書・資産運用のアドバイザーとも形容され、言わば投資の専門家です。多くの方が現在持たれているイメージの通り、一般の個人投資家などに投資について、売買の時期・注目するべき銘柄・数量などの的確なアドバイスをしたり、投資に役立つ情報の提供、相談役としての役割を担っています。このように、個人投資家の方がもっとも身近なサービス内容としては、投資家との投資顧問契約に基づきおこなわれる、株式や債券などの有価証券などへの投資に対する、投資助言業務となるかと思います。

    一般的には、相談形態・指図形態・一括送信形態・ソフトウェア販売形態などの助言形態があります。2006年までは、投資顧問業法とも呼ばれる有価証券に係る投資顧問業の規制等に関する法律があったため、さまざまな業務が「投資顧問業」というひとくくりで扱われていましたが、この法律が正式に金融商品取引法に統合された2007年以降は、「投資顧問業」という名前ではなく、「投資運用業」と「投資助言・代理業」という2種類の名前で表現されるようになりました。

    現在は、単に「投資顧問業者」と言った際にも、金融商品取引業者のうちの「投資一任業務」または「投資助言業務」を担う企業を指すことが多くなっています。この2つの詳しい業務内容については、次の項目で説明させていただきます。

    投資助言代理業と投資一任業

    2007年に証券取引法の一部が改正され、略称を金商法とする金融商品取引法が施行されました。

    これを受け、それまでの投資顧問業は形を変えることとなり、現在、投資顧問としては、「投資運用業」、「投資助言・代理業」という2つの種類の業務について担っています。投資家に代わって有価証券の運用業務を主におこなうのが「投資運用業」、投資家への有価証券の価値・投資判断に関する助言などを主な業務とするのが「投資助言・代理業」となっています。

    「投資運用業」には、運用方法の違いにより、「投資一任業務」と「ファンド運用業務」の2つの種類に分けることができます。「投資一任業務」は、投資家と投資運用業者がともに締結した投資一任契約に基づく、投資に関わる一連の委任業務にあたります。

    それぞれの投資家から正式に委任される業務内容となりますので、運用業者が投資の売買の権限を持つ場合もあれば、別の権限を持つ場合もあります。対して、「ファンド運用業務」は、ベンチャービジネスを展開する新しい企業のサポートや既存の企業の再生などを目的としたファンドを主な財産として、有価証券などを投資対象とする場合の運用をおこないます。

    また、「投資助言・代理業」も大きく2つの種類に分けることができ、投資家との投資顧問(助言)契約に基づき投資判断への助言をするものの、実際の投資判断は投資家に委ねる「投資助言業務」、投資家と投資運用業者間の投資一任契約もしくは、投資家と投資助言業者間の投資顧問(助言)契約の締結の代理や媒介をおこなう「代理・媒介業務」とがあります。

    金融商品取引法の定めにより、「投資運用業」、「投資助言・代理業」どちらの業者も、金融商品取引業者として内閣総理大臣に認められた上で、財務省に登録されなければならず、正式に登録が済んでいる業者には、登録番号が付与されるしくみになっています。

    料金体系の違い

    では、投資顧問の料金体系における違いにはどのようなものがあるのでしょうか。

    大きく分けると、投資顧問の料金体系としては、主に、固定制・従量制・成功報酬型などの形があります。固定制の場合は、毎月の定額制プランを掲げている投資顧問会社が多く、その価格についても、数千円から数十万円と大きな幅があります。従量制の場合は、契約の銘柄数などに応じて料金が異なるプランとなっており、スポット契約と呼ばれることもあります。

    成功報酬型の場合は、投資顧問のアドバイスなどによって利益を得ることができた際に限定してそれに見合う報酬を支払うというものになり、投資家にとってはメリットの大きなサービスとも言えますが、あらかじめ支払う率が設定されていることが多くなっています。

    ほかのプランでも同じく言えることですが、成功報酬型の場合は、より念入りに事前の契約内容の把握しておくことが必要と言えるでしょう。いずれの場合も、株式・投資信託・FXなどそれぞれの金融商品に特化した投資顧問会社、約束されるサービス内容、各種の料金体系、各種の契約プラン、契約期間などのさまざまな項目を念入りに確認し、本当に自分に合った投資顧問会社を選択することが大切になります。

    近年、オンライン上でのサービスを提供することをうたっている悪質な投資顧問会社の存在も報告されていますので、トラブルを事前に防ぐためにも、きちんと内閣総理大臣の認可を受けている投資顧問会社がどうかを確認するなどもしっかり注意すると安心でしょう。

    また、無料会員向けのサービスなどを提供している投資顧問会社や、実際に投資顧問契約を交わす前に無料で試せるサービス期間などを設けている投資顧問会社もありますので、そういったサービスを活用して、シミュレーションしてみるのもおすすめです。

    高度経済成長期、バブル期と経済発展が著しかった少し前までは、一部の裕福層などを中心におこなわれることが多かったのが日本における投資の実情でした。

    しかし、バブル崩壊や長期的な不況といわれる時代への変化や情報化社会への変遷が進むにつれ、資金運用が身近となり、ひとりひとりがさまざまな理由を背景に資金のあり方を考えるべき時代となってきているのではないでしょうか。

    これから投資を始めようと思っている方、投資を始めてまもない投資初心者の方、さらに効率の良い投資を進めたいと考えている投資家の方などいろいろな方がいらっしゃると思いますが、ぜひ投資の専門家である投資顧問の力を借りて、より実りの多い資金運用を目指してみてはいかがでしょうか。

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