ソフトバンクグループ(SBG)は23日、米通信大手TモバイルUSの保有株を売却すると発表した。2兆円規模を調達する見通しで、株安対策や財務改善のために打ち出した総額4.5兆円の資産売却は8割にめどがつく。矢継ぎ早の売却や株主還元を評価し、株価はコロナ禍での下落をほぼ取り戻した。ただ、経営に苦しむ投資先企業が多く、守勢が続く。
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SBGはTモバイルに対し、24%の出資分のうち最大16%近くを売る。足元の市場価格から算出すると売却額は最大210億ドル(約2兆2千億円)。Tモバイル親会社のドイツテレコムが2024年までにSBGの残りの保有分の大半を買い取ることができる契約も結んだ。この権利が行使されれば、SBGのTモバイルへの出資比率は1%未満となる。
SBGはTモバイル取締役14人のうち4人について持っていた指名権を今回、1人に縮小した。さらに、今後の持ち株比率次第では「指名権を失う可能性がある」としている。Tモバイル株を追加売却すれば、SBGは13年に参入した米通信事業から事実上、完全撤退するかたちだ。
コロナ危機で傘下の10兆円ファンド「ビジョン・ファンド」の投資先の企業価値が急減したSBGは、株安対策などのため4.5兆円の資産を売却する方針を公表。調達資金のうち2.5兆円を自社株買いに使い、残りを社債償還などに充て財務改善に費やすとした。
5月には中国・アリババ集団の株を活用した資金調達や、通信子会社ソフトバンクの保有株5%の売却を相次ぎ発表。Tモバイル株の売却で合計額は約3.7兆円と目標の8割を達成することになる。矢継ぎ早に資産売却を決め、手元資金の積み上げなど「守りの財務」の態勢を整えた。ただ、課題は山積している。
ファンド事業の先行きはなお厳しい。逆風が吹くのが、投資先の約4割を占める「交通・物流」分野だ。外出規制に伴いライドシェアの需要が急減しており、米ウーバーテクノロジーズは4月のライドシェアの需要が8割減少した。
有力投資先の一つであるインドの格安ホテル大手OYO(オヨ)ホテルズアンドホームズも売上高がコロナ発生前と比べ、約半分に減っていると明らかにしている。中国・北京字節跳動科技(バイトダンス)は年内の上場観測が出ているが、好調な企業は少数だ。
足元ではビジョン・ファンド以外の投資リスクも顕在化した。独フィンテック大手ワイヤーカードへの投資や提携だ。
SBGの傘下にはビジョン・ファンドとは別に、幹部陣や外部投資家が出資するファンドがある。このファンドが19年にワイヤーカードの新株予約権付社債(転換社債=CB)を引き受けた。
このファンドにはSBGは出資しないため、ワイヤーカードの株価が急落してもSBGに損失は波及しない。ただ、詳細を公表せず、SBGの資金も入っていないファンドがSBGの事業提携に関係する投資をしていたことになる。
SBGは関連会社を通じ、ワイヤーカードとフィンテック関連の技術やサービスの開発で提携した。SBGがワイヤーカードの日本や韓国への進出を支援する内容もあったが、現時点では具体的な動きには至っていないもよう。
引用:日本経済新聞
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