日銀の黒田東彦総裁は、3月16日に始まったフィンテック・カンファレンス「FIN/SUM 2021」で、「情報システムと金融システムの融合、アズ・ア・サービスの先にあるもの」と題した講演を行った。
総裁は、「アズ・ア・サービス(as a Service)」という言葉の意味について、「製品機能のサービス化、平たく言えば、顧客に商品を売り切る『販売』に対し、顧客が必要な時に『サービス』として提供するビジネスモデルのことを指しているようだ」と述べたうえで、金融における「アズ・ア・サービス」へと話を進めた。
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「フィンテック・アズ・ア・サービス」は、今年の「FIN/SUM」のテーマ。この領域では、金融機関がフィンテック事業者の先進的なeKYCや不正利用検知サービスを自社のアプリで利用する事例などが生まれており、最近では、金融機関が提供してきた金融サービスをアンバンドリングし、非金融企業の事業サービスに組み込めるような形で提供する動きがあると説明。その例として「バンキング・アズ・ア・サービス」(Banking as a Service)ないし「組込型金融サービス」(Embedded finance)と呼ばれる動きを紹介した。
黒田総裁は、シュンペーターが『経済発展の理論』で用いた言葉「新結合(neue Kombination)」が「イノベーション」と読み替えられたことに触れ、デジタル化による「新結合2.0」を支えるのは、従来独立していた「生活や企業活動を支える情報システム」と「金融サービスを支えるシステム」との連結だと述べた。
情報システムと金融システムの融合には、まずは各々のシステム内でデジタル化が進展する必要があるとしたうえで、最後に「中央銀行デジタル通貨(CBDC)」へと話を進めた黒田総裁は、日本銀行として、現時点でCBDCを発行する計画はないとの考え方に変わりはないと前置きしたうえで、決済システム全体の安定性と効率性を確保する観点から、今後の様々な環境変化に的確に対応できるよう、しっかり準備しておくことが重要だとの見解を示した。
また、国際決済銀行(BIS)が行った調査では、65の対象中央銀行のうち、86%が何らかの形でCBDC発行のメリット・デメリットを分析しており、60%がCBDCに関する概念実証やパイロット実験について検討しているというデータを引用し、「日本銀行としては、デジタル社会の到来という大きな変化を迎える中、中央銀行マネーをどのような形で提供していくべきか、今回のテーマになぞらえれば、「セントラルバンキング・アズ・ア・サービス」(Central Banking as a Service)のあり方について、この機会にしっかりと検討しておきたい」と講演をしめくくった。
引用:MONEYzine
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