将来の音楽配信の収益を前払いする音楽フィンテック「beatBread」がディストリビューターとの連携を発表


音楽フィンテック・スタートアップの「beatBread」は、アーティストやクリエイターが直面してきたマネタイズや資金繰りの課題を改善しようとしています。beatBreadは音楽ストリーミングから分配される収益をインディーアーティストへ前払いするアドバンス・ペイメントの仕組みを、パートナー企業へ提供することを発表しました。

━PR━━━━━━━━━━━━━━
【特集】2021年「資産形成おすすめ」ランキング
━━━━━━━━━━━━━━PR━

インディペンデント・アーティストや、レーベルと契約しない音楽クリエイターは、同社が開発する自動化システム「chordCashAI」を導入した音楽サービスを利用することでアドバンス(前払金)を受け取ることができるようになりますが、beatBreadの仕組みでは、メジャーレーベルのアドバンスの仕組みと異なり、アーティストが楽曲の権利を保有し続けられることにあります。

beatBreadと連携して前払いを提供するプラットフォームは、UnitedMasters、Symphonic Distribution、Horus Music、Indie Amplify、SyncVault、Soundplate、Too Lostです。これらのデジタルディストリビューター、レーベルサービス、インディーレーベルに参加しているアーティストは支払いの契約を早められます。

アーティストが受け取れる金額は1,000ドル(約11万円)から100万ドル(約1億1000万円)と契約内容によって大きく変わってきます。支払いを受けるには収益を分配するレベニューシェア契約を結びます。契約対象はストリーミングとラジオからの収益で、ツアーや著作権、シンクロ権、グッズ販売は対象から外れます。基本的にリリース済みのカタログ音源からの収益を分配しますが、リリース前の未発表音源も分配できるオプションがあります。契約期間や、前払い金の利用方法はアーティストが決める方式です。支払金はbeatBread側が提供します。

ディストリビューターやレーベルサービスでは、人工知能技術を組み込んだchortCashAIのシステムがアーティストの再生データを予測分析して前払金を試算、カスタマイズ可能な契約書の作成を自動化できるようになります。beatBreadは今秋に第二弾となる新たなパートナー企業を発表する予定です。

今回の前払いシステムの連携について、beatBreadのCEO、ピーター・シンクレア(Peter Sinclair)は、「多くのアーティストにとって活動資金の確保は必要不可欠ですが、音楽キャリアアップを実現する上で、自らの権利を手放す犠牲を払う必要はありません。私たちが提供する前払いの仕組みでは、アーティストは自らの権利を保有でき、巨額のオファーをするだけの企業ではなく、業界トップクラスのマーケティングやディストリビューション・パートナーと組むことができます」と述べています。

beatBreadは2020年11月に創業した新しい音楽スタートアップですが、既に100組以上のアーティストの資金援助を行ってきました。

beatBreadのアドバイザーには、元EMIの業務担当上級副社長で音楽弁護士のPhilip Wild、EMI北米の最高執行責任者(COO)で、マネジメント会社COFINKのCEOのColin Finkelstein、セコイア・キャピタルの元チーフ・データサイエンティストでカリフォルニア大学アーバイン校の教授のVibs Abhishek、アーティストマネージャーでレーベル・マネジメント・音楽出版社SinceThe80sの共同創設者のKei Hendersonが参加しています。

昨今のインディー音楽コミュニティや、海外のアーティストや業界関係者の間では、契約や結び方やアドバンスの条件の比較について積極的に情報共有しようとする流れが強まっています。アーティストが不公平な条件で契約を結ばないよう、注意喚起にも繋がっているため、契約をテーマにした議論は音楽カンファレンスやウェビナー、YouTube、ブログ、アーティストのSNSで増えています。

契約問題は、音楽ストリーミングへ業界の移行が進む中で、進展が遅れてきた領域です。契約条件がストリーミングやデジタル化に追いついていないという根本的な問題が業界内で解決しておらず、また伝統的なメジャーレーベル型の契約条件よりも、豊富な選択肢が揃うインディーアーティスト寄りの契約を選ぶ若手アーティストやレーベルが目立ってきました。

音楽業界ではメジャーレーベルや従来型のレーベルと契約した場合、原盤収益は85%がレーベル、15%がアーティストや権利者に分配される条件が標準化しています(または80%/20%のロイヤリティ収益分配率は一般的で、条件はアーティストや360度契約、売上が発生する地域などによって異なります)。

こうしたレーベルのアーティスト契約の多くは、レーベルが原盤権を保有するため、契約上アーティストは自分の楽曲であっても許可なく使うことができない、使用料の交渉ができない、など様々な制約が課されますが、アーティストは引き換えに、アドバンスを受け取ってきました。アドバンスを受け取ったアーティストは、分配される収益からレーベルに払い戻す義務が発生しますので、アーティストが利益を上げるまで相当な時間が掛かったり、契約期間内に利益を生まないまま契約終了になる恐れもあります。世界のアーティスト・コミュニティでは、伝統的なメジャーレーベル型の契約を避けるように言われる理由はこうしたアドバンスと分配にもあります(それ以外にも避ける理由は多く存在します)。

アドバンスはレーベルにとっての投資ですので、回収するための契約を結ぶのは必然的でもありますが、beatBreadのようなスタートアップによって、料率も契約期間もアーティストが選べるオプションが増やせるため、権利を犠牲にしてまで収益回収が難しい契約をわざわざ結ぶリスクをアーティストは減らせます。このようなアドバンス支払いは原盤ビジネスの新しい収益化と捉えることができます。

引用:ALL DIGITAL MUSIC

━PR━━━━━━━━━━━━━━
【特集】2021年「資産形成おすすめ」ランキング
━━━━━━━━━━━━━━PR━

あわせて読みたい資産形成ニュース

    関連アイテムはまだありません。