フィンテック投資家、マルケタIPOに殺到

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決済やEコマースの急速な進化の推進力となっている米Marqeta(マルケタ)が上場した。投資家はマルケタについて知っておくべきだろう。

マルケタは新規株式公開(IPO)を経て9日に取引を開始した。初日の取引では一時、公開価格から13%急伸した。同社が手掛けるのは、モバイル決済サービスのスクエアや料理宅配サービスのドアダッシュ、フィンテックのアファーム・ホールディングス、ゴールドマン・サックスなどの顧客向けの「現代的なカード発行」だ。顧客のエンドユーザーへのバーチャルあるいは実物のカードの迅速な発行を促進している。スクエアは同社のサービスを用いて、モバイル決済アプリ「キャッシュ・アップ」を、デビットカードと合わせたネオバンキング(新たな形態のデジタル銀行)口座に変貌させた。ドアダッシュでは、宅配人がレストランから受け取る料理の代金を支払うことができるようになった。

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マルケタは決済関連の他の新興企業と同様に、これまで多額の先行投資や特定のノウハウを必要としていたものを、より現代的に応用するために合理化し、急激に市場に浸透した。カードごとの発行料などではなく、カードの利用や決済処理に伴って発生する取引高絡みの手数料を得ている。

このため、フィンテックのトレンドに賭けることに意欲的な投資家にとっては、魅力的な銘柄となる。特に、新興のネオバンキング銘柄としてスクエアを好むのであれば、マルケタ株はそうした事業に多大なエクスポージャーをもたらす。スクエアはマルケタにとり最大の顧客で、キャッシュ・アップやスクエアのビジネスカードなどの製品に関する多様なサービスを利用している。スクエアはマルケタの1-3月期(第1四半期)売上高の73%を占めた。

現在の株価に基づくマルケタの時価総額は約160億ドル(約1兆7500億円)。ファクトセットによると、直近12カ月の株価売上高倍率(PSR)はおよそ45倍となっている。これは通販サイト作成サービスを手掛けるカナダのショッピファイとほぼ同水準で、電子決済サービスを手掛けるアディエンやペイパル・ホールディングスの2倍程度だ。スクエアの取引高に対する期待が高いせいもあるだろうが、投資家はそれ以上に、マルケタの幅広い事業の潜在的な成長の大きさに対価を払っている可能性が高い。これまでのところ、2021年1-3月期は前年同期から倍余りの増収になるなど、マルケタはそうしたプレミアムを正当化し得る成長軌道に乗っている。

さらなる成長への道には、ドアダッシュやウーバー・テクノロジーズ、インスタカートなどの顧客を通したデリバリーやその他のギグサービス、さらに後払いサービス企業のKlarna(クラーナ)とアファームのように、小売業者への支払いを簡易化するためにマルケタを使用する企業の存在がある。マルケタはゴールドマン・サックスの消費者向けオンライン融資事業「マーカス」の当座預金口座の立ち上げに協力している。仮想通貨取引所を運営する米コインベースとも、ユーザーの保有する暗号資産と連動するデビットカードで手を組んだ。JPモルガン・チェースはバーチャル商用カードでマルケタと組んでいる。バーンスタインのアナリスト、ハーシタ・ラワット氏は、デビットカードよりも高いインターチェンジフィー(売り上げ交換手数料)を稼げるクレジットカード事業の拡大によっても、大きな成長が期待できると指摘している。

ただし、商業的な成長とマルケタの相関関係は必ずしも完璧ではない。何より、米国での収益の大部分は徴収するインターチェンジフィーの一部を獲得することによって賄われており、インターチェンジフィーの規制変更に影響を受けやすいかもしれない。今のところマルケタが優位に立てているのは、カード発行で提携している中小銀行が、デビットカードで大手銀よりはるかに高いレートを得ることが規制で認められているためだ。マルケタは他にも、インターチェンジフィーと無関係の市場で取引ごとの手数料を徴収することもできる。

マルケタは急速に変化する競争環境に直面している。アディエンやストライプ、ソーファイ・テクノロジーズのガリレオなど、新興企業がカード発行サービスに参入している上、ファイサーブやグローバル・ペイメンツなど先行企業は、長年にわたり銀行のカード発行を支援してきた部門を持つ。

顧客との契約条件に微妙な影響を及ぼせるため、取引高と売上高成長は注目されるが、それでも他社との競争は、収益性を注視すべきとの注意喚起になる。マルケタの顧客は通常、一段と大きな取引高になるほど、受け取れるインターチェンジフィーの比率も大きくなり、長期的な関係を築くインセンティブとなる。オートノマス・リサーチのアナリスト、クレイグ・マウラー氏によると、マルケタは総取引量の増加に伴い、カードネットワークや発行銀行など、自社が使うサービスプロバイダーの価格設定が改善される可能性もあり、こうした圧力をある程度相殺することができる。

マルケタは投資家にとって、複数のセクターにまたがる大企業を介した決済の進化と簡素化に賭ける上で、明快な方法となる。だが現在の株価水準では、投資家は細部にも敏感になっておく必要がある。

引用:THE WALL STREET JOURNAL

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