老後のための資産形成の時間が十分ではなかった————。ある調査で、60代の6割以上がこう考えていることが明らかになった。「複利効果」の視点からも資産運用には、早めに取り組み始めるのが得策だ。
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「10年、20年早く始めていれば」と後悔する人が多数
冒頭で紹介した調査は、一般社団法人「投資信託協会」が2020年3月に発表したものだ。調査名は「60歳代以上の投資信託等に関するアンケート調査」で、これによると老後の資産形成について時間が十分ではなかったと感じている人が63.5%となっている。つまり、資産形成を早めにしてこなかったことを後悔している人が多い、という結果だ。
さらに調査データを読み込んでいくと、老後のために資産形成を始めた年齢では「50代から」が15.7%で最も多い結果となっているが、いつから始めたほうが良かったかを聞く質問では、「30代から」(15.5%)もしくは「40代から」(14.4%)が多くなっている。
もう10年もしくはもう20年早く始めていれば……と考えている人が多いのだ。
若いうちから資産形成を始めるメリット
では、なぜ早くから投資を始めておけば良かったと思う人が多い結果となっているのか。その理由は、長期投資をすることでさまざまなメリットが生まれてくるからだ。
長期投資のメリット1:「複利効果」を享受できる
長期投資のメリットの一つに「複利効果」を最大限生かせるという点がある。複利効果とは、資産運用で得られた利益を再び投資に充てることで収益の伸び率がどんどん高まることを指す。投資期間が長くなればなるほど複利効果も大きくなるのが一般的だ。
長期投資のメリット2:相対的にコストを下げることができる
資産運用には手数料などのコストがかかる。初期コストに関していえば、長期にわたって投資を続ければ続けるほどその負担は相対的に小さいものになっていく。例えば初期コストが1万円の場合、投資期間が2年間だと1年当たりに換算したコストは5,000円になるが、投資期間が10年間に及ぶと1年当たりのコストは1,000円にまで下がる。
長期投資のメリット3:リスクを分散できる
積立型の投資信託のような投資方法の場合、毎月決められた金額分の株式を購入することで極端に大きな損失を出すリスクが軽減される。この手法は「ドルコスト平均法」とも呼ばれ、投資にあまり詳しくない人にとっては安心度が高い長期投資の方法だ。
不動産投資はどんなもの?
では、高齢になってから後悔しないように若いうちから長期投資に取り組もうと考えた場合、どのような投資の手法を選べばいいのだろうか。不動産投資、株式投資、投資信託、外国為替など、「投資」と一言で言ってもさまざまな手法があり、迷う人も多いだろう。
こうしたさまざまな投資手法のうち長期投資でよく選ばれているのが「不動産投資」と「投資信託」だ。それぞれの特徴を紹介する。
不動産投資の特徴とメリット
不動産投資では、一定水準の入居率を維持していけば中長期的に安定した収入を得ることができる。管理会社などを利用して入居者の募集や契約書の作成などを任せれば、手数料はかかるが自らの手間を減らすことができる。手間がそれほど掛からないことは、長期投資では重要なポイントだ。
不動産投資は、投資を続けるモチベーションも保ちやすい。なぜなら一般的に金融機関から融資を受けて物件や土地を購入し、賃貸収入からローンを返し終わったらその物件が実質的に借金ゼロの「資産」として自分の手元に残るからだ。
不動産投資がインフレに強いとされていることも、長期投資に向いている理由の一つだと言える。仮に預貯金で資産を保有していると、インフレになることで価値は下がる。ただ不動産はインフレとともに価値が上がりやすく、将来的にインフレになっても影響は受けにくい。
投資信託の特徴とメリット
投資信託は簡単に言えば、投資の専門家に資産の運用を任せる方法のことを指す。手数料はかかるが、専門家に運用を任せることで投資の知識がなくても一定の成果を残すことが期待できる。「餅は餅屋」というわけだ。
投資信託で扱われる金融商品は国内や海外の株式や債券などというようにさまざまだが、どのような金融商品に投資をするかという方針は投資信託ごとに決められている。投資家はその運用方針を確認してどの投資信託を購入するか決める。
専門家に運用を任せることによって値動きを日々気にしなくてもいいことは、実は長期投資を続けるうえでとても重要なことだ。投資に限らず、ストレスは少ないほうが物事を長く続けやすい。
複利効果の恩恵を享受しよう
もっと早く始めておけば……と後悔しないためにも、この機会に長期での資産形成を検討してみてはいかがだろうか。日本はすでに給与所得がどんどん伸びる時代ではない。
複利効果の恩恵を最大限享受することで、自身の望む老後を実現できるだろう。
引用:ZUU online
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