NECは5日、スイスの金融ソフト大手、アバロクを米ファンドなどから20.5億スイスフラン(約2360億円)で買収すると発表した。長く事業売却や人員整理が続いたNECは、2018年から成長投資を本格化。欧州ITの買収は今回が3社目で買収額を倍々のペースで拡大させている。金融・行政で進むデジタル化の波をとらえ、遅れていた海外展開を急ぐ。
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「デジタル化は行政と金融で加速する。市場の潮流をとらえてグローバルに進出する」。NECの新野隆社長は5日の記者会見で買収の狙いをこう語った。2021年4月の買収完了を予定しており、NECにとってアバロクの買収は過去最大のM&A(合併・買収)となる。
NECは18年に、英国のIT中堅のノースゲート・パブリック・サービシズ(NPS)を約700億円で買収。翌19年にはデンマークのIT大手、KMDホールディングを約1300億円で買収した。いずれも欧州の行政機関向けのソフトウエアなどを開発している。
アバロクは世界30カ国150社以上の金融機関向けにソフトウエアを提供しており、顧客基盤に強みを持つ。欧州では日本のマイナンバーにあたる番号制度と個人の金融情報がひも付けされ、納税や給付などの手続きが効率化されている。今後はこれらのビッグデータの解析需要も高まるとみられる。こうしたフィンテック分野を取りこむ。
アバロクは金融機関向けの汎用的なソフトウエアやデータ分析に強みがある。NECが注力してきた特注品のようなシステム開発と比べて収益性の改善も期待できる。
アバロクは18年12月期以降、最終損益は2期連続で赤字を計上している。ただ、NECは役員報酬制度の見直しなどで、20年12月期は黒字化するとみている。
買収額を過去3期の平均EBITDA(利払い・税引き・償却前利益)で割った割合は約30倍。単純計算で買収資金の回収に30年程度かかることになる。
10倍程度が一般的とされる中、NECの森田隆之最高財務責任者(CFO)は「過去の案件に比べると高額だが、将来の成長性と収益性が期待され、適正な金額だ」と指摘。アバロクが強いデータ解析の需要増などで「EBITDAの伸び率は年間約15%と予測している」という。
5日の終値は前週末比2%高の6200円と、1%高の日経平均を上回った。東海東京調査センターの石野雅彦氏は「今回の買収金額は投資家が許容できるギリギリの範囲だ」と話す。
買収による相乗効果はNECが強みとする生体認証や人工知能(AI)などの技術と組み合わせることで「今後5年で数百億円を見込む」(同社)という。ただ、KMDなど、これまでの海外買収案件では大きな相乗効果は得られていない。
NECが海外ビジネスの強化を急ぐ背景には、国内市場の閉塞感がある。01年3月期に5兆円超だった売上高は約20年間で約3兆円まで縮小。半導体やパソコンなどの事業を分離。01年から4度にわたり計1万4千人程度をリストラした。
構造改革に一定のめどをつけ、20年3月期の連結営業利益は前の期の約2倍の1276億円に回復した。ただ、売上高のうち海外分は約25%にとどまる。
引用:日本経済新聞
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