株式や投資信託。資産運用を行いたいと思っている人は多いかと思われますが、大きな額を動かすのは、誰しも不安に感じてしまうものです。
取り返しのつかない失敗を起こさないかと考えてしまうと、たとえ資産運用してみたい気持ちはあっても、中々手が出せないですよね。
しかし、そんな初心者であっても、安心して運用出来るのがNISAなのです。
少額投資非課税制度を意味するこのNISAは、一定期間において、資産を非課税で運用出来るという画期的なシステムなのです。
非常に便利なNISAですが、それと同時に注意も必要。今回はNISAの税金システムや、非課税期間が終了した際に選択出来る運用方法など、知っておきたいNISAの注意点を中心にご紹介したいと思います。
いま資産運用を考えているという人は要チェックです。
税金について
資産形成を行う上で、特に気を付けておきたいのが税金対策でしょう。
通常の株式や投資信託(多くの投資家から投資を募り、運用会社に所属している投資専門家によって株式や金融商品による投資を行い、得られた利益分を投資家に配当する金融商品)では、売却や配当などで得た利益の20%が税金の対象となります。
税金が妨げとなり、投資をしたくても中々実行に移せないという人も多いのではないでしょうか。そんな人にこそNISAはおすすめ。
NISAはNippon Individual Savings Accountの頭文字を取っており、元はイギリスのISA(Individual Savings Account)システムをモデルとして立ち上げられた少額投資非課税制度を意味します。
1年の間の投資額上限を120万円と決め、5年間(最長10年間)非課税投資枠の中で投資が行えるという画期的なシステムであり、その運用はとても簡単。NISA口座の開設は一人一口座と定められており、投資可能期間は2014年から2023年の間です。
開設した口座の中で上限額以内で株式や投資信託を自由に運用するのですが、そこで得られた配当金などは全て非課税として扱われます。
少額投資を目的にしている人や初心者にとっては非常に有益な投資制度ですが、気を付けておきたい点もあります。
まずは制度自体が2023年に終了してしまう事。そして口座開設から5年後からは普通に運用資産は課税対象となる為、一般口座などの課税口座に移管するか、保有している投資を売却する、もしくはロールオーバーを利用し、投資商品を繰り越すか、どれかの方法を選択しなければなりません。
ロールオーバーとは、後でも詳しくご紹介しますが、簡単に言うとこれまで購入した商品を、非課税対象期間が終了した後も引き続き翌年の非課税対象枠に当てる事が出来るという制度です。
ロールオーバーとは
NISAの非課税対象枠は通常5年間です。2014年から制度が始まったので、初期から投資を始めた人も、2018年で非課税対象期間が終了してしまいます。
非課税対象期間が終わる前に、選択出来る運用方法は3パターン。
1つ目がNISAの口座を一般口座へ移管し、課税口座にするという方法。
2つ目がこれまでの資産を売却する方法。
3つ目がロールオーバーと呼ばれる方法です。
ロールオーバーとは、非課税対象期間が5年経っても、新たに次の非課税対象枠(5年間)に移し、資産を引き続き運用出来るという画期的な方法です。
ロールオーバーはこれからもNISAで投資を続けていきたいと思っている人、または資産に含み損が出てしまっている人にとって、非常に便利な制度と言えます。
ロールオーバーが含み損が出ている際に有効である理由は、NISAで投資した資産を課税口座に移管した場合、損失の繰越控除が適用されないという点にあります。
通常の資産運用であれば損失が出てしまった場合、翌年以降にその損失分を繰越し、翌年以降に出た利益と相殺出来るという繰越控除の制度が適用されるのですが、NISAではこれが適用されません。
NISAから一般の課税口座へ移した場合、移した金額から投資が始まったものと見なされるので、例えば、当初NISAにおいて120万円からスタートした資産が、80万円まで値下がりをしたとします。
5年後、これを一般口座へ移管すると、80万円から投資がスタートしたと見なされるのです。
その後40万円値上がりし、120万円まで資産が戻ったとしても、値上がりした40万円分が課税対象となってしまいます。
よって、損失が出ている場合は、ロールオーバーをして含み損の解消を図った方が得と言えるでしょう。
ロールオーバーはこれまで上限額が120万円に制限されていましたが、制度が変更され、上限額も撤廃されました。
これまではたとえ120万円以上の資産があっても、120万以下に資産を売却して、そこからロールオーバーへ移行しなければなりませんでしたが、この制度改正により、全資産が新たな非課税対象枠に移行出来るようになったのです。
売却について
非課税対象期間終了後の資産運用方法には3つのパターンがあるとご紹介しました。
含み損がある場合や、長期的な利益が出る事が予想されている場合はロールオーバーが最も適していますが、他にも2つ選択肢が存在します。
1つが一般口座、つまり課税口座へ移管する方法。
2つ目が資産を売却する方法です。
一般口座への移管に関しては、非課税対象枠終了前、特に何の手続きもとっていなければ自動的に課税口座へと移行されます。
2018年はNISAの制度が始まって以来、初めての非課税対象枠終了時期に当たるので、貯めてきた資産の運用方法に迷っているという人も多いでしょう。
一般口座で課税されてでも運用出来る程、資産にゆとりがあるようなら移管する事もおすすめしますが、先にもご紹介した通り、NISAで含み損がある場合、一般口座への移管は大きな痛手を意味します。口座を移される前に、今一度資産総額を確認しておきましょう。
売却を選択される人も多いですが、何も非課税対象期間から外れる5年後だけが売却出来る時期というわけではありません。
NISAでは5年の間であればいつでも自由に売却が行えます。資産運用において、初心者の方が最も迷われるのが、売却のタイミング。
制限もなく、好きなタイミングで好きなだけ売却し、現金化出来るという金融商品は決して多くはない為、NISAは初心者にとって比較的売却しやすいと感じる筈です。
売却時期は自由ですが、売却した資産については、同年の非課税対象枠から外れてしまう事だけは注意が必要です。
例えば120万円の上限額の内、80万円分を売却してしまえば、残りの40万円分のみ買い付けが可能であり、80万円分は新たな買い付けが不可能となります。
運用を始めて5年後に含み損が出てしまわないよう、ベストなタイミングを常に見計らって、売却を行いましょう。
資産運用を思い浮かべる時、多くの人の頭の中に過るのは、漠然とした「難しそう」「損をしてしまったらどうしよう」といったマイナスのイメージばかりではないでしょうか。
投資のプロならばともかく、今まで一度も資産運用など行った事のないような初心者であれば尚更、難しそうなイメージが付きまといがちです。
しかし、そんな初心者であっても低額から安心して投資が行える制度が今回ご紹介したNISAなのです。
NISAであれば、上限額が120万円と定められている為、上限額以上の損失が出てしまったり、大幅な痛手を負うリスクも非常に稀です。
そして何より5年間の非課税対象期間が付与されるのです。
資産運用には興味があるけれど、どれにしようか迷っている、という人にはNISAがおすすめ。是非一度試してみて下さい。