最近は資産形成の重要性が話題となっており、それに伴って積立NISAに興味を持つ方も増えてきています。
投資する投資信託と、その積み立て金額を決めるだけで誰でも簡単に資産形成を始められる積立NISAですが、多くの人は「積立NISAは始めた後ほったらかしでも大丈夫なのか」という点が気になるのではないでしょうか?
この記事では、積立NISAを実際に始めた後、ほったらかしでいいのかどうかや、定期的にチェックすべきポイントについて分かりやすく解説します。
積立NISAはほったらかしこそがおすすめ!
結論からお伝えすると、積立NISAはほったらかしができる人にこそおすすめできる資産形成方法です。
投資には、短期的な売買を繰り返すような方法と、中長期的にじっくりと投資をしていく方法の2種類が存在します。
このうち、積立NISAは前提として後者の投資スタイルに分類されるものとなっています。
また、積立NISAで投資できる商品は金融庁が定めており、「長期・積立・分散投資」の3つの観点で高いレベルのパフォーマンスを誇る投資信託のみとなっています。
金融庁が定める条件に合致する商品は「インデックス型」と言われており、投資信託ごとに定められた指数に連動するような成長を目指すといった特徴があります。
ここで、米国の主要指標の一つである「S&P500」の2013年から現在までの指数を見てみましょう。ちなみにS&P500というのは、日本で言う「日経平均株価」のようなイメージを持っておけば大丈夫です。
リーマンショックやコロナショックなどで上下はしていますが、2013年からの長期視点で見てみると、指数が右肩上がりとなっていることが分かります。
指数が上がっているということは、その指数に連動することを目標としているインデックス型投資信託の価値も上がっているということになりますので、結果論として2013年から約10年コツコツ投資をしていた人は高い利率の投資効果が享受できているということになるのです。
このように、長期的な目線で値上がりが期待できる投資信託に対し、最初の設定をするだけであとは自動的に積立投資ができる積立NISAは、日々の価格変動に動じずに「ほったらかせる」人にむしろおすすめとなっています。
他にも、積立NISAをほったらかしにすべき理由として、複利効果を最大に活用できるという点が挙げられます。
投資の世界には単利と複利という用語があります。
単利というのは、投資元本に対して利子がつくことを指し、【元本×利回り】で計算することができます。
一方、複利は「投資元本と受け取った利子」に対して利子がつくことを指します。【(元本+前年利子)×利回り】で計算でき、発生する利子に対しても利子がつくため、加速度的に毎年の利子金額が増えていくことになるのです。
単利と複利という概念を分かりやすくするため、一つシミュレーションをしてみましょう。
税金を無視し、100万円を年利5%で5年運用したとすると、単利の場合は元本100万円と利子25万円(5万円×5年)で合計125万円となります。
一方、複利の場合は毎年の利子を元本に加えて運用することになるため、5年運用した後の元本合計は127.6万円となり、単利よりも2.6万円高くなるのです。
もちろん複利効果は長期的、かつ投資元本が多ければ多いほどその効果をさらに高めることが可能です。そんな複利効果を期待するには、積立NISAをほったらかしにする必要があります。
これまでのことをまとめると、積立NISAをほったらかしにすべき理由は以下の通りです。
【積立NISAをほったらかしにすべき理由】
- 中長期的に見て値上がりが期待できるインテックス型ファンドに投資するため、むしろほったらかしにする投資スタイルが向いている
- 複利効果を最大限に享受するためには、ほったらかしにして長期投資をする必要がある
ただ、ほったらかしにするといっても、「一度積立設定を決めたらあとは何も関心を持たない」ということは避けましょう。
あくまでも、積立NISAは毎日投資効果を見る必要がないというだけで、経済動向の確認や定期的なチェックは運用上すべきことです。
定期的にチェックすべき3つのポイント
ここまで解説したように、積立NISAはほったらかしにしても問題がなく、投資による資産形成初心者におすすめの投資方法となっています。
しかし、定期的にチェックしておくべきポイントが3つあることは認識しておきましょう。
- 資産状況の確認
- 毎月の積立額の確認
- 今年の積立予定額の確認
一見すると面倒に感じてしまうかもしれませんが、自分なりのルーティンが定まればそこまで難しいことではありません。
ここからは、上記のチェックポイントについて、詳しく解説していきます。
資産状況の確認
積立NISAの定期チェックで大切になってくるのが、資産状況の確認です。
ただ、ここでいう資産状況の確認とは、毎日などの短期的な資産変動ではなく、中長期的視点で順調に資産形成ができているかの確認となります。
個別株への投資やFXなどでは、安い時に投資して価値が高まったら売却するといった方法がメジャーとなっていることもありますが、積立NISAの場合は日々の値動きを気にする必要はありません。
確かに積立NISAではあらかじめ決めたタイミングと金額で定期的に購入をしていくので、値下がりしている時であればより多くの口数を購入できます。
そのため、値上がりしている時には少ない口数しか購入できないということになりますが、その際は値下がりしていた時に購入していた分が値上がりしていることになりますので、結果的に資産全体の値上がりが期待できるのです。
つまり、積立NISAにとって短期的な値動きを気にする必要はありませんので、「上がってもいいし、下がってもいい」という感覚を持っておくのがよいでしょう。
ただし、どれくらいの期間、どれくらいの資産を積み立てられてきているのかのチェックはしておくべきです。
半年や一年の感覚を目安に資産状況を確認し、資産が順調に推移しているかを認識するよう意識してください。
同時に、積立NISAの残りの非課税枠がどれくらいあるかの確認もできますので、今後の積み立て計画の設計に役立てられるでしょう。
毎月の積み立て額の確認
積立NISAは、20年間に渡って投資で生じる税金を非課税にできるという制度ですが、年間40万円といった非課税枠の上限金額が存在します。
非課税枠の上限を超えて投資した分については、積立NISAの制度が適用されず、通常通り課税されてしまいますので、計画的に積み立てていくことが重要になってくるのです。
非課税枠上限一杯で投資をしたいのであれば、毎月3.3万円を積み立てることになりますが、最初は無理のない範囲から始めて投資に慣れていこうとする方が多いでしょう。
一方、最初から毎月3.3万円の積み立て設定をしたはいいものの、生活やライフスタイルの変化で積み立て金額が重く感じてくる可能性も考えられます。
積立NISAの非課税枠40万円/年というのは、あくまでも上限金額です。そのため、その上限枠内であればいつでも積み立て金額を増減することが可能となっています。
資産形成へどれくらい支出するのか、自分の生活とのバランスを考えながら、毎月の積み立て額をいくらにしていくのか確認するようにしてください。定期的に投資額の見直しを心がけることで、資産を効率よく増やすことに繋がるでしょう。
ただ、より効率よく積み立てをしていきたいのであれば、できるだけ毎月の積み立て金額を一定にするのがおすすめです。
投資信託といった値動きする商品に積み立てる際、「ドル・コスト平均法」という考え方が大切になります。
ドル・コスト平均法とは、毎月定額の積み立てをすることで、値下げ局面では多数の口数が。値上げ局面では少ない口数がそれぞれ購入でき、結果的に安く投資商品が購入できるという考え方です。
生活が苦しくならない余剰資金の範囲内で積み立て額を設定しつつ、定期的に毎月の投資金額についての確認を行うことを意識してみてください。
今年の積み立て予定額の確認
繰り返しになりますが、積立NISAの非課税枠には年間40万円という上限があります。
税制優遇の恩恵を最大限に受けるためにも、毎月の投資金額を計画的に設定していく意識を持つようにしてください。
ちなみに、積立NISAの非課税枠を計算する期間は、積み立てを始めたタイミングに寄らず、一律で1月1日〜12月31日となっています。
もし仮に一年間の途中で積立NISAを始める場合は、12月末まであと何回積み立てられるかを計算し、毎月の投資上限額を理解することに努めてください。
3ヶ月に一回程度、「あと積立NISAの非課税枠がいくら分残っているか」について、証券会社のサイトで確認するクセをつけておくと良いでしょう。
それでも、どうしても銘柄変更をしたいという方は変更を検討する前にこちらを一度ご覧ください。
積立NISAでスイッチングは可能?銘柄変更時の注意点
まとめ
積立NISAはほったらかして運用することが大切になっています。毎日値動きがするものではあるので、最初のうちはそわそわと値動きを確認したくなってしまうかもしれません。
しかし、積立NISAは数年・数十年単位で運用していくものです。
この記事で解説した3つのポイントを意識しながら、のんびりと着実に資産形成をしていくよう心がけてください。