これから何らかの形で資産運用を始めてみたいという方におすすめなのが、「ファンド」とも呼ばれる「投資信託」です。
投資が未経験の方でも比較的リスクを少なく行える分散投資というだけではなく、小額の資金から始められる投資でもあり、投資に精通したプロの手によって運用されるため手間もかからず、元手に見合った利益の還元が望めるなど、さまざまなメリットを持つ資産運用方法のひとつです。
投資家はもちろん、販売会社・委託会社(運用会社)・受託会社(信託銀行)などの機関が関係してくるのが投資信託ですが、投資信託にチャレンジするにあたって事前におさえておきたい注意点やポイントと、自分に合った運用会社を選択する際の見極め方、そのポイントについてご紹介していきたいと思います。
分配金利回りが高いかどうか
それぞれの投資家が投資資金を提供するものの、投資についてよく知る専門家が実際の資金運用を担当することから、投資信託はリスクの少ないと言われる資産運用方法のひとつです。とは言え、やはり資産運用にはある程度のリスクはつきもの。
投資信託で確実に利益を得るために適した銘柄や運用会社を選ぶためには、「分配金」と「分配金利回り」についておさえておくことが大切となります。
一般的な契約型の投資信託では、投資家だけではなく、投資家から資金を集める投資信託の「販売会社」、集められた資金からファンドを形成し運用指示までを受け持つ「委託会社」、指示を受け実際に日々の運用を担当する信託銀行などに代表される「受託会社」が関わるしくみになっています。
投資信託は2つの投資方法に分けることができ、分配方法などによってさらに区別化されます。
投資信託でまず知っておいていただきたいのは、投資信託の分配金には、「普通分配金」と「元本払戻金(特別分配金)」の2種類があること、そして、「毎月分配型」と「年1回配当型」があることです。これらの配当型はもちろん、より利益率の高い投資信託を選ぶという意味では、分配利回りの高さを確認することが重要ですが、利回りの高いファンドがより良い運用をしているというわけでもありませんので、あまりにも利回りに比重を置きすぎるのも考えものです。
目先の利回りだけではなく、基準価額の増減や運用方針・分配方針なども視野に入れたトータルリターンまでを考慮し、銘柄名(ファンド名)や運用会社を選ぶことも大切になってきます。
また、さらに効率的に分配金利回りを確認するためには、さまざまな機関が提供している「分配金利回りランキング」を参考にしていただくこともおすすめです。
ランキングで見るべきポイントについては、後の項目でも説明させていただきます。
手数料や分散投資について
投資家以外にも複数の機関が運用に関わる投資信託では、「手数料」として発生するさまざまなものが存在します。
せっかく利回りが高く大きな利益を望める銘柄(ファンド)を選んだとしても、手数料が予想以上にかさんでしまうようでは、結果的に効率の良い投資とは言えなくなってしまう場合もあります。
一般的な手数料としては3種類があり、販売手数料とも呼ばれ、投資信託を購入する際に購入金額の1.0%から3.0%ほどがかかる「購入時手数料」、投資信託の1年の純資産総額に0.5%から3.0%ほどかかり、運用管理費用とも呼ばれる「信託報酬」、投資家が投資信託を売却する際に、0%から0.5%ほど支払う「信託財産留保額」、投資家が換金時に支払う「換金手数料」とに分けられます。
これらの費用はファンドの状況に関わらず発生する費用ですし、ファンドごと、運用会社ごと、契約プランごとでも異なってきます。
また、大手証券会社よりもネット証券の方が安い手数料を設定しているなど、同じファンドでも販売窓口が異なれば購入時手数料などにも違いが出て来ることが多いので、できるだけ視野を広く持ち、契約プランそれぞれの手数料までをしっかりと考慮した上で、投資信託の購入を検討されるとよいでしょう。
手数料のほか忘れてはならないのが、投資リスクの軽減や安定した資産運用のために大切な「分散投資」です。投資信託は1万円ほどから購入できるようになっており、小額でも多数の銘柄を購入することが可能となっています。日本国内の株式・債券・不動産投資信託だけではなく、世界規模での豊富な金融市場が用意されていたりと、すでに資産運用の基本とも言える分散投資を叶えやすい条件が整っています。
ぜひ、いろいろなファンドや運用会社を見比べてみてはいかがでしょうか。
ランキングから選ぶ
より賢く投資を検討するのに役立つ、経済新聞などが発表する「分配金利回りランキング」や「売れ筋ランキング」などについてご存知でしょうか。
銘柄(ファンド)別の順位はもちろん、税引き前の分配金利回り・過去1年間の分配金健全度・直近の分配金などについても一目で確認できるランキングが多く、より良い投資のためにぜひ活用いただきたい情報のひとつです。ランキングによっては同時に運用会社までを確認できるものもありますので、効率の良い投資のために役立てることができます。
また、各証券会社や銀行などが取り扱っている投資信託を対象に、年間分配金利回りに着眼したランキングも発表されていますので、ある程度の運用会社の目星がついている場合などは、特におすすめです。そういったランキングの中には、ワンクリックで投資信託購入や積立ができたり、WEBページ上で比較機能・フォルダ保存機能が使えたりと、数々の便利なシステムが用意されている場合もあります。また、投資を検討するにあたって重要になる詳細情報までがしっかり公開されているランキングも多くあり、ランキング上位の銘柄が見やすくリスト化されているだけではなく、銘柄別ランキングの前月比、基準価額、基準価額増減などの細い情報の推移のほか、過去1年間の分配金合計額と基準価額増減を考慮した「合計損益」などについても、一目で簡単に確認できるものもあります。
毎月情報が更新されるもの、より頻繁に情報が更新されるものなど、ランキングによって情報更新の頻度にも特徴があります。
まずは、いろいろなランキングを一度チェックし、ご自分に必要な情報が網羅されているものや一番見やすいと感じるものから、定期的な情報収集を試みてみてはいかがでしょうか。
当然、投資信託にも資産運用につきものの多少のデメリットはあります。元本の保証がないため、常にある程度のリスクを伴うこと、投資信託を保持している間には毎日発生する「信託報酬」を支払う必要があることなどがそれにあたりますが、投資信託の基本となるポイントを知っておくことで、余計な手間をかけずに効率の良い資産運用とすることが可能です。また、投資の利益にかかる税金を非課税にできるNISAでの投資信託も可能であったりと、口座の種類によってもうれしいメリットがある場合もありますので、ぜひ、運用会社が提案しているいろいろなプランや条件を慎重に見極め、ご自分にぴったりのものを選択していただければと思います。