シニア世代の資産運用はむやみに高いリターンを狙うのではなく、資産を減らさない「守り」の工夫が大切になる。投資信託で運用する場合でも、複数の資産に分散投資するバランス型が有効な選択肢の一つ。10年かけて毎月10万円ずつ積み立て投資をしたらどうなったか、過去の運用成果を検証してみた。
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低リスクのバランス型を積み立て
退職金などのまとまった資金があっても一度に全額を投資せず、毎月あらかじめ決めた金額をゆっくり積み立てる方法なら、いつがベストな投資タイミングかで悩まなくて済む。今回はバランス型ファンドの中でも価格変動(リスク)が小さいタイプに対象を絞り、積み立て投資の成果を調べた。
投信のリスク水準の区分には、QUICKファンドリスク(=QFR、1~5*の6段階で3が東証株価指数=TOPIX相当)を使い、リスクが最も低い「QFR1」に分類されるバランス型ファンドを抽出。ここから残高上位10本を選び、2011年6月から月10万円ずつ10年間にわたって積み立て投資した場合の運用損益をランキングした(図表A)。積立総額は1200万円になる。
毎月10万円、10年継続で1600万円に
トップは「野村世界6資産分散投信(分配コース)」。分配金が年6回支払われるタイプだが、すべて再投資に回したと仮定して計算すると、10年間で積み立てた1200万円に対して運用益は402万円、評価額は1602万円になった。このファンドは国内外の債券、株式、不動産投資信託(REIT)の6資産に分散投資し、リスクを抑えるため株式とREITを合わせた投資割合は30%程度を目安とする。国内債券の比率を高めた「安定コース」も5位にランクインした。
1位の「分配コース」を毎月10万円ずつコツコツ買い続けた場合の評価額と積立総額について、その推移を表したのが図表Bだ。比較のために、TOPIX連動型のインデックスファンドの積み立て成果を並べた。どちらも最初の半年ほどは含み益が出ていないものの、2年目以降は運用益が緩やかに積み上がっている。
じっくり積み立て、「守り」に有効
20年3月のコロナショック時にフォーカスしてみると、運用益が伸び悩んだ度合いはTOPIX連動型よりバランス型のほうが小さい。そこからショック前まで持ち直すのに要した時間も短いことがみてとれる。
低リスクのバランス型は株式ファンドほど上昇相場でのリターンは大きくないが、ショックに強いタイプが多い。じっくりと積み立てを続けることで、着実に運用成果を得ることができる。大損を回避しながら少しずつでも資産を増やしたいシニア世代にとって、老後資金を「守る」のに有効な一手となる。
(QUICK資産運用研究所 中田裕子)
引用:日本経済新聞
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