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不動産投資を始める前に知っておくべき、確定申告の方法

以前までは、バブル期までの不動産価格の流れなどもあり、比較的大きな初期投資資金が必要とされていた不動産投資ですが、最近では、限られた資金でも手軽に始めることができ、かつ自分ひとりで資金運用を試みるのではなく、不動産のプロの力を借りて、より大きな不動産市場での資金運用などが可能になった不動産投資信託(REIT)や不動産小口化商品といった金融商品への投資も広く知られるようになってきています。

実際に、少しずつ不動産投資を始める準備をしている方や、早速、不動産投資の世界に足を踏み入れたという方も多いのではないでしょうか。

貯蓄や利益を得るために行う資金運用では、確定申告も大きなテーマとなるかと思います。
今回は、不動産投資を始めるにあたって知っておきたい確定申告の方法について、ご紹介していきます。

確定申告が必要なケースを確認

不動産投資を本業として行っている方よりも、会社勤めの方など本業を別に持ちながら、片手間に投資活動として取り組んでいるという方がやはり圧倒的に多いのではないでしょうか。

まず、基本的なルールを理解しておく必要があります。現在所属している会社などで、年末調整を済ませる予定の会社勤めなどの方は、不動産投資からの所得が年間20万円以下の場合は、確定申告が不要になります。
しかし、不動産投資をメインの収入源としている方や、副収入としていても自営業の方などは、例え不動産投資からの所得が年間20万円以下の場合でも、確定申告をしなければなりませんので、注意が必要です。

また同時に、確定申告が必要となる「不動産所得」には、どのようなものが該当するのかを知っておく必要があります。

不動産所得に該当する収入については、国税庁のサイトでも確認できますが、不動産貸付、地上権などの権利の設定及び貸付、船舶貸付などです。
それぞれの所得金額は、「総収入金額-必要経費=不動産所得の金額」という計算式で算出できるようになっています。

また、土地や建物などの不動産を売ったことにより発生する「譲渡所得」がある場合も確定申告が必要です。
その際の確定申告は、他の所得とまとめてする必要がありますが、この場合は分離課税となり、家賃収入などとは異なる税率となります。

さらに、不動産の所有期間が5年以内の場合は「短期譲渡所得」、5年を超える場合は「長期譲渡所得」となり、適用される税率が異なりますので注意が必要です。確定申告の必要性は、不動産投資以外の投資からも所得がある方、ふるさと納税をされた方、医療費控除を受ける方などでも変わってきますので、少しでも不明瞭に感じる方は、ぜひ税の専門家へのご相談をおすすめします。

必要書類を集める

では、実際に確定申告する際に必要な書類にはどのようなものがあるのかを見ていきたいと思います。
必要書類には、不動産会社、賃貸管理会社、保険会社、国税庁、勤務先、金融機関で取得する書類の他、国や地方自治体から送付されてくる書類が含まれます。
必要書類は、不動産所得の種類によっても異なってきますが、主なものとしては次のものが挙げられます。

・所得税青色申告決済書・不動産収支内訳書・不動産売買契約書・確定申告書・源泉徴収票・賃貸契約書・譲渡対価証明書
・不動産所得税、登録免許税、都市計画税、固定資産税などの納付通知書・損害保険などの証券、領収書・管理費、修繕積立金に関する領収書、通帳履歴など・修繕費に関する見積書、請求書、領収書・借入の返済表・交通費、交際費などの経費の領収書・印紙の領収書です。

確定申告には、比較的簡易で小規模の申告がメインとされる「白色申告」と複式簿記に基づき事業規模の申告がメインとされる「青色申告」があるのは、多くの方がご存知のことと思います。

不動産投資の世界では青色申告をする目安として、一般的に、5棟10室以上の賃貸物件を所有していることなどが基準となるとされています。
もちろんこれは絶対のルールではありませんが、複雑な書類を作成する青色申告はそれなりの労力と知識が必要になります。
しかし、青色申告で最大65万円の控除が受けられなかった場合にも、最大10万円の控除の対象である可能性がありますので、比較的大きな不動産所得がある方は検討してみても良いかもしれません。青色申告を利用する際には開業をしていることも条件となりますので、青色申告承認申請書と一緒に「開業届け」の事前準備も必要になります。

申告書を作成し税務署に提出

毎年、確定申告の時期は決まっており、2月16日からの一ヶ月間です。今お住まいの地域の管轄税務署が主な申告場所ですが、郵送での申告も可能ですし、国税庁のホームページ上で書類を作成し、電子申告もできます。また、期間中は臨時の窓口を設けている地域もありますので、ぜひ活用していただければと思います。

前項目で確定申告が必要になるケースや必要書類についてご紹介させていただきましたが、確定申告のしくみを少し複雑に感じた方もいらっしゃるかもしれません。年間20万円以上の不動産所得を得ているにも関わらず、確定申告を忘れてしまった場合や申告に虚偽や漏れがある場合などは、無申告加算税や過少申告加算税などが発生してしまい、余分な税金を納付しなければならなくなることがあります。
万が一、確定申告をうっかり忘れてしまった場合などは期限後申告としても申告ができますので、できるだけ早く対応するようにしましょう。

もし、所有している不動産が赤字になってしまった場合にも、確定申告をする必要があります。赤字があるような場合は、赤字が3年間繰り越し可能になったり、減価償却費としてある程度の額を計上できたりという青色申告をすることによって得られるメリットもありますので、不動産投資の状況によって、どの申告方法がより大きなメリットを得られるのかという点を考慮することも大切です。
また、不動産所得の種類によって、必要書類や申告書の作成方法が若干異なる場合もあります。白色申告をする方の場合、賃貸料や更新料などの所得は、不動産所得用の収支内訳書に記載が必要なのに対し、不動産売買での所得は事業所得用の収支内訳書に記載が必要になりますので少し注意が必要です。
わからない点などは国税庁のホームページなどを参考にしながら、確定申告時期に多い、税理士による無料相談会などを活用してみても良いかもしれません。

今年初めて不動産投資によって利益を得たので確定申告をする予定という方も、これから毎月安定した不動産収入が望める方は、毎年確定申告を行う必要が出てきますので、早めに必要書類を準備することはもちろん、確定申告書に経費として計上できるものにも様々なものがありますので、不動産投資に関わる必要経費の種類などについても下調べをしておくことをおすすめします。
また、確定申告準備期間は、出てきた数字を元に、今後の不動産投資計画について考える良い機会でもありますので、ぜひ今後の投資活動に役立てていただければと思います。