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iDeCoに限度額はある?

iDeCoは日本在住の20歳以上60歳未満の人ならば誰でも加入でき、5000円以上1000円単位で毎月積み立てができます。
そして、60歳以降は一括もしくは分割で年金を受け取ることができますが、加入期間によって受け取り年齢が異なっています。

例えば10年以上積み立てた場合は受け取り年齢は60歳、8年以上10年未満で61歳と、2年ごとに受け取りが1年間遅くなります。
銀行や証券会社、生命保険会社などで申し込むことができますが、運用対象や手数料は各金融機関によって違いがあります。

掛け金が全額所得控除される、運用益が非課税になるなどメリットがあります。
では、iDeCoの限度額の上限を職業別に見ていくことにしましょう。

第1号被保険者の場合

第1号被保険者は、日本在住の20歳以上60歳未満の自営業及び学生の方が該当します。
自営業の方は企業に属していないため、「老後の年金は国民年金だけがたより」という方も多くいらっしゃいます。

しかし、国民年金はご存知の通り、将来の受給額の減額や受給年齢の引き上げが囁かれています。
そうした点を鑑みると、自営業の方にとってiDeCoは老後資金作りの心強いツールになります。
iDeCoの第1号被保険者の方の掛け金は第2、3号被保険者の方に比べてかなり高めに設定されているからです。
毎月の掛け金の上限は6万8千円、年81万6千円までとなっています。

ただし、この金額は国民年金基金との合算です。
国民年金基金の加入は任意ですから、国民年金基金だけにするのか、iDeCoだけにするのか、あるいは併用していくかは悩ましいところですが、併用していくのが最も賢い方法と言われています。
その理由は、どちらか片方だけにするよりも安全だからです。
idcoは運用成績によって受給額が変わるため、最終的にいくらもらえるのかは不明です。
その点、国民年金基金は超低金利の現代においても確定利回りが1.5%と安定しています。

また、人生100年時代とも言われていますから、iDeCoだけでは老後資金が足りなくなる恐れもあります。
iDeCoの積み立ては60歳までですが、国民年金基金は60歳以上でも加入できます。
ある試算では、87歳以上生きるならば国民年金基金の方がお得という結果もあります。

しかし、公的年金に対する将来の不安は根強くあります。
また、87歳以上生きられるかどうかは、誰にも分かりません。
こう考えてくると、国民年金プラスiDeCoで老後資金を積み立てていくのが賢明だと言えるのではないでしょうか。
もしくは60歳まではiDeCo、それ以降は国民年金基金という選択も良いでしょう。

第2号被保険者の場合

日本在住の厚生年金の被保険者を第2号被保険者と呼びます。
会社員や公務員の方がこちらに該当します。
第2号被保険者のiDeCoの上限額は、少し複雑です。
その理由は、勤め先の企業の年金制度状況によって、掛け金が細かく区分されているためです。

まず最初に、勤め先の企業に年金制度がない場合の掛け金の上限は、月額2万3千円、年27万6千円です。
勤め先が確定拠出年金(DC)に加入している場合は月額2万円、年24万円となります。
公務員や教職員、勤め先が確定給付年金(DB)に加入している会社員の方は月額1万2千円、年14万4千円と定められています。
ここでDCとDBの違いについて簡単にご説明します。
まずDCの導入や掛け金の支払いは企業が行いますが、企業が決めた金融商品の中から社員が個人個人で選択し、運用も社員個人が行い、運用結果によって受取額は変化します。
つまり、運用は自己責任となります。

iDeCoの企業版と考えると分かりやすいでしょう。
加入、掛け金の負担、金融機関及び運用商品の選択を個人が行うのか、企業が行うのかという違いだけです。
一方DBは加入も掛け金の負担も運用も、全て企業が行います。
万が一運用に失敗して損失が出た場合も企業が補填しますので、社員の負担は一切発生しません。
つまり、社員は何もする必要がなく、企業が社員の年金を積み立ててくれるという訳です。
受取額もあらかじめ決まっているので、将来のライフプランが立てやすいというメリットもあります。

このようにDBは会社員にとってかなりメリットが大きいため、DBに加入している企業の社員は、iDeCoの限度額が低く抑えられているのです。
第1号被保険者の方と比べると、限度額が1/5以下になっています。
お勤め先がどの区分に該当するか分からないという方は、一度総務部などに尋ねてみましょう。

第3号被保険者の場合

20歳以上60歳未満の専業主婦(主夫)の方で、配偶者が第2号被保険者の方は、第3号被保険者に該当します。
たとえ専業主婦の方であっても、ご主人が自営業の場合は奥様も第1号被保険者とみなされます。

また、パートのお仕事をされていて年間150万円以上の収入がある場合も、配偶者の扶養から外れているとみなされるため、第3号被保険者になることは出来ません。
第3号被保険者の場合、iDeCoの限度額は月額2万3千円、年額は27万6千円と決められています。
2016年までは第3号被保険者はiDeCoに加入できませんでしたが、2017年以降は加入できるようになりました。
iDeCoのメリットの一つに掛け金が全額所得控除されるというものがありますが、専業主婦・主夫の方の場合はそもそも所得控除の対象になる収入がないため、その恩恵が受けられません。

また、第1号、第2号の被保険者と同じく、受取額は課税対象となります。
では、第3号被保険者の人はiDeCoには手を出さないほうがいいのでしょうか?確かに税制優遇は受けられませんが、第3号被保険者の方は自分の老齢期の資金を自分で確保する必要があります。
ご主人あるいは奥様の退職金が期待できるとは言え、それだけでは老齢期の資金としては不十分です。
あまり考えたくはないことですが将来、ご主人の勤め先が倒産したり、離婚の危機が訪れたリしないとも限りません。
そのような不測の事態を見据えてiDeCoを始めるのは、賢明な選択と言えます。

また、独身時代に加入したiDeCoは、専業主婦になってもそのまま続けられます。
第3号被保険者の方に限ったことではありませんが、iDeCoはどの運用商品を選ぶかによって受取額も変わってきますから、加入する際には各金融機関の手数料、メリット、デメリットを丁寧に比較検討しましょう。

まとめ

若い方にとって60歳は遠い未来のように感じられるはずです。
「今の生活で精一杯」という方や、「長期間に渡って支払う自信がない」という方も多いかもしれません。

しかし、iDeCoは年1回掛け金の変更が可能ですので、ご自身のライフステージや状況に合わせて増額、減額と調整できます。
例えば年齢を重ねてご両親の介護が必要になったり、結婚してお子さんが生まれ、教育費がかかるようになったりした場合は減額すれば良いですし、逆に昇給、昇進した場合は増額すれば良いでしょう。

公的年金だけに頼るのではなく、自分自身で年金を作り出すiDeCoは、これからますます加入者が増えていくと思われます。
元気な若い世代の方にこそ、老齢期の資金作りの方法の一つとしてiDeCoをおすすめしたいと思います。