24日出そろった主要生命保険9社の2020年9月中間決算で、新たに獲得した契約の保険料(年換算)が8社で減った。
新型コロナウイルスの影響で訪問営業を自粛したうえ、海外の金利が低下して外貨建て保険の販売も低調だった。
最大手の日本生命(海外のぞく)は前年同期比43・9%減と、かんぽ生命以外で最も大きく落ちた。各社で4~5月に営業職員による訪問を自粛した影響が出た。例えば第一生命ホールディングス(HD)が、顧客の了解がない飛び込み営業を含めて制限を設けず全国で営業再開したのは10月以降だった。
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前年同期に大同生命で税務見直しに伴い、経営者向け保険の販売を一部停止したT&DHDのみ微増。明治安田は公表資料で単体の実績を出しているが、海外を含めると前年比1・4%増だと説明する。減少率の低かった朝日生命は6~9月の新契約の保険料が前年を上回ったといい、石島健一郎常務は顧客と直接会わない申し込み手続きなどの活用に加え、「コロナで医療保険などのニーズが高まっていた」と話す。
コロナによる市場の混乱で海外金利も低下し、顧客の保険料を外貨で運用する外貨建て保険の販売も減った。ソニー生命は4月、米ドル建て一時払い終身保険の販売を休止。外貨建て保険は契約時に保険料を一括で払う一時払い保険も多く、売上高に当たる保険料等収入への影響が大きい。高利回りが期待できるとして人気を集め、扱っていない富国生命と朝日生命をのぞく各社の保険料等収入を押し上げてきた。
売上高に当たる保険料等収入は全社が減収。本業のもうけを示す基礎利益は、保有株式の配当金が企業の業績悪化で減ったことなどで4社が減益だった。生命保険はすでに保有する契約から得られる売り上げの割合が多く、新契約の落ち込みに比べて変化は小幅な傾向がある。
生命保険協会によると、コロナによる10月までの保険金支払いは、死亡保険金と入院給付金で計2万5612件の約139億6千万円。明治安田生命の中村篤志常務執行役は「国内の支払いは限定的にとどまる」とみる。一方、米国での支払いは「注視していきたい」と述べた。第一生命HDの米国のグループ会社はコロナによる死亡保険金の支払いなどが膨らみ、純利益が6割以上減った。
20年度の新契約の保険料の見通しについて、最大手の日本生命は前年同期比約3割減、明治安田生命(単体)は約2割減、住友生命は約1割減と見込む。日本生命の朝日智司常務は「新契約業績がコロナ前の水準に戻る時期は見通せていない。予断を許さない事業環境が続く」という。感染の第3波とも言われるなか、「また緊急事態宣言のような動きがあれば厳しい状況になる」(富国生命の鳥居直之取締役)との見方も出ている。(山下裕志)
引用:朝日新聞DIGITAL
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