金融サービスと情報技術(IT)を結び付けた新たな動きが広がってきた。インターネットを活用した融資や現金不要のキャッシュレス決済、スマートフォンでの送金といった具合だ。金融(ファイナンス)と技術(テクノロジー)を組み合わせて「フィンテック」と呼ばれる。
ところが銀行業界の閉鎖的な体質が、こうした新しいサービスや異業種参入の妨げになりかねない。そんな厳しい指摘が公正取引委員会からなされた。銀行やフィンテック企業、利用者を対象に行った調査に基づくものだ。銀行業界はこの際、体質を改め、金融サービス全体の向上に踏み出すべきだろう。
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公取委が指摘した典型例が、銀行相互に送金する際にかかる「銀行間手数料」だ。決済ネットワークの「全国銀行データ通信システム」(全銀システム)を使い送金をすると、その銀行から送金先の銀行に手数料が支払われる。その額は個別交渉で決める仕組みなのに、実際は3万円未満は117円、3万円以上は162円と全国一律で、40年以上も変わっていない。
公取委によると、米国など先進4カ国での資金決済システムの利用コストは1件当たり0・4~26円だった。日本も事務の自動化で送金コストが大幅に下がったはずだが、送金1件当たりの全銀システムコストは開示されていない。不透明だ。
公取委の調査には、銀行からも「銀行間手数料は高すぎる」といった当事者意識を欠くコメントが寄せられた。この背景には、手数料を実質的に負担しているのが銀行ではないという事情がある。
キャッシュレス決済の場合、こうした手数料は最終的にサービスを提供する事業者や利用者が払っている。銀行間手数料が下がれば、新たなサービスが広がり、事業者間の競争によって利用者の利便性向上につながると期待される。これに連動して他行への振込手数料も引き下げられれば、事業者や一般の消費者にもメリットが大きい。
公取委から、事務コストを大きく上回る手数料水準の是正を求められた銀行業界は、監督官庁である金融庁とも連携し、手数料の見直しを検討することになった。コストに見合う水準に早急に引き下げるべきだ。
公取委は今後の課題として、フィンテック企業への全銀システム開放や、銀行が保有する口座情報等の提供拡大などにも言及している。
資金決済を支える金融インフラは重要な公共財であり、これから成長が見込まれるフィンテックの各種サービスの基盤となる。低廉で公平な取引環境を整えることが求められる。
引用:西日本新聞
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