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アクティブでは資金の3割超が「平均より高い」コストのファンドに流入、長期でパフォーマンス押し下げ

長期的な視点での資産形成が意識される中、低コストファンド志向が高まっている――と言われるが、アクティブ、パッシブ別に見ると、必ずしもそうとは言い切れない。アクティブファンドにおいては、信託報酬が相対的に高いファンドに流入する資金の割合が全体の3割を超える。コストの中でも信託報酬は運用中かかり続け、パフォーマンスの下押し要因となる。運用期間が長くなるほど下押し圧力は大きくなる。アクティブファンドのコストについて、改めて検討することが求められる。

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モーニングスターでは、コストの見える化指標として「フィーレベル」を公表している。フィーレベルは、ファンドを投資先資産とアクティブ・パッシブ別から設定したカテゴリーに分類し、コストがその所属するカテゴリー内でどの水準にあるかを、「安い」、「平均より安い」、「平均的」、「平均より高い」、「高い」の5段階で示したものである。
21年7月のフィーレベル別の資金流出入を見たところ、パッシブファンドは全体が3066億円の純資金流入、「安い」は1973億円の純資金流入となり、全純資金流入額に占める「安い」の割合は64%となった。「安い」の割合は、5月は83%、6月は84%。7月こそ、日経平均株価の急落を受けて、「高い」に属する一部の日経225連動型ファンドに株価の反転を見込んだ資金が向かった影響などから「安い」の割合が低下したが、パッシブファンドにおける低コスト志向を確認することはできよう。

一方、アクティブファンドは、7月は全体が4148億円の純資金流入、「安い」は798億円の純資金流入となり、全純資金流入額に占める割合は19%に留まった。全純資金流入額に占める比率は、5月は9%、6月は11%となっており、パッシブファンドとの違いは大きい。
「平均より安い」が7月に1878億円の純資金流入となって全純資金流入額の45%を占め、5月も60%、6月も59%であったことから、アクティブファンドにおいても低コストファンドを選好する動きが優勢であるとは言える。ただ、「平均より高い」が7月に1306億円の純資金流入となって全純資金流入額の31%(「高い」は0.3%)を占め、5月、6月の全純資金流入額に対する割合が36%、37%であったことを踏まえると、アクティブファンドにおいては、一定以上のファンドに、相対的なコストの高さにもかかわらず資金が集まっているとも言える。
アクティブファンドは、銘柄の調査・分析や経済情勢分析などパッシブファンドよりも運用に際しての手間がかかる。信託報酬はその対価であり、相対的に高水準であってもそれに見合ったパフォーマンスを上げていれば問題はない。とはいえ、現在投資家の資金が集中している先進国株式に投資するアクティブファンドを例に、フィーレベルと中長期的な運用成績の関係を見たところ、高コストファンドは冴えない結果となった。
具体的には、フィーレベルカテゴリー「先進国株式・アクティブ」に属するファンドについて、フィーレベル別に21年7月末までの過去5年間のトータルリターン(年率)とシャープレシオの平均を算出し、全ファンド平均と比較した。全ファンドの平均はトータルリターンが10.88%、シャープレシオが0.64。フィーレベル別では、「安い」がトータルリターン11.34%、シャープレシオ0.71、「平均より安い」がトータルリターン13.84%、シャープレシオ0.81となり、ともに全ファンド平均を上回った。一方、「平均的」、「平均より高い」、「高い」はいずれも下回った。
ここ数年間のような世界的な株価上昇局面では、株式に投資するファンドを中心にパフォーマンスが押し上げられ、コストに見合ったものであるのか取り立てて意識しなかった投資家もいると思われる。足元では、米国でテーパリング(量的金融緩和縮小)の早期開始観測が広がっている。新型コロナウイルスを巡る世界的な楽観と悲観も当面繰り返されよう。世界の金融市場の先行き不透明感が高まっている今、アクティブファンドのコストを改めて意識したい。

引用:モーニングスター

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